コロナ5類移行半年、警戒緩めず 青森県内医療関係者 今冬、インフル同時拡大も懸念

第9波では、新型コロナ患者を受け入れる病棟が満床となるなど、一部医療機関で負担が増した=8月、五所川原市のつがる総合病院(同病院提供)

 新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けが5類に引き下げられてから、8日で半年。直近の感染者数は、5月8日の5類移行後では最も少ない水準に落ち着いている。ただ、医療関係者らは「今冬の感染状況は予測が難しい」と警戒を緩めず、季節性インフルエンザとの同時拡大も懸念する。夏の新型コロナ第9波で、一部医療機関の負担が高まった経験を踏まえ、感染拡大時に備えた診療対応の強化や、感染予防策の再確認を訴える。

 県が毎週公表している新型コロナ感染者数の推移を見ると、5類移行直後の週(5月8~14日)は、1定点医療機関当たりの感染者数が3.27人だった。第9波は、8月21~27日の週の31.30人をピークに、以降は感染者数が減り続け、直近の週(10月23~29日)は5類移行後最少の2.38人まで減った。半面、インフルエンザは流行期に入り、直近の週の感染者数は1定点当たり8.28人と増加傾向にある。

 県立中央病院の藤野安弘院長は、第9波の感染状況について「(昨冬の)第8波並みか、もしかしたらそれ以上の大きさだったかもしれない」と話す。お盆期間の前後にかけて救急外来に発熱患者が集中し、職員が対応に追われた。

 県医師会の近藤博満常任理事(青森市)も「熱中症の高齢者とコロナの高齢者が混在し、院内感染が起こっていた病院もあった。朝から入院できる病院を探し、その間は一般の外来診療はできなくなった」と、第9波を振り返る。

 例年、冬場はけがや血管系の疾患で、救急搬送が増える傾向にある。藤野院長は「夏場のような新型コロナの拡大や、インフルエンザの流行が重なれば、一般の救急にも支障を来す恐れがある」と懸念。感染拡大時の診療受け入れ態勢を医療機関同士が確認する仕組みを整えておくなど、備えの必要性を強調する。

 県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師は「夏場の感染拡大で集団免疫ができ、今は新型コロナが落ち着いている。免疫状況の変化次第で、次の波が起こる可能性はある」との見方を示す。インフルエンザ、新型コロナともに「確率の高い見通しを立てるのは難しい」と説明。「地域や身の回りの感染状況に気を配り、流行が広がってきたら警戒を高めて、手指衛生や人との接触に気をつけるなどの対策を意識してほしい」と呼びかけた。

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