高さ3m、休耕地にススキのアート?! 兵庫・猪名川 「かっこよろしいやろ?」持ち主が明かす1年前の姿

休耕地に不思議な光景をつくりだしているススキ=猪名川町木津

 秋深まる兵庫県猪名川町木津地区の田園地帯に、一風変わったススキの群生が広がっている。高さ3メートル以上に育った太い束が休耕地に点々と立つ姿は、まるでアートのよう。どうしてこんな光景に? (吉田敦史)

 「昨年秋に来た時はジャングルみたいやったな」。そう振り返るのは、伊丹市東有岡1の堀邦臣さん(79)と妻なほみさん(78)。もともと土地を所有していたのは邦臣さんのおばで、2年前の夏に102歳で亡くなった。ほかに管理できる人がおらず、邦臣さんが引き取った。

 約3千平方メートルの休耕地に、高さ2メートルを超す外来種のセイタカアワダチソウなど雑草が生い茂り、イノシシが巣をつくっているという話もあった。町役場からは相続前から「何とかしてほしい」と連絡が入っていた。「ご近所にすごく迷惑をかけていたと思う」となほみさん。邦臣さんは週1回足を運び、草刈りをすることにした。

 最初は手作業で、ジャングルに分け入るように鎌で地道に刈っていたが、草刈り機を購入してスピードアップ。長女も大阪府箕面市から毎回手伝いに駆け付けた。

 作業を進めながら邦臣さんが「ススキだけ残したらどうかな」と思いつき、できあがったのが現在の光景。ススキが広がりすぎないよう、支柱を立てたりロープで縛ったりして形にこだわってきたといい「かっこよろしいやろ?」と笑う。

 なほみさんは持病のため本格的な作業はできないが、邦臣さんに何かあってはいけないと、弁当を作って必ず付き添う。日よけのパラソルを立ててキャンプ用のいすに腰を下ろし、ピクニック。邦臣さんは「土地を売ってほしいという業者もあるけど、安くしか売れない。ランニングコストはかかっても、遊び感覚で趣味として通う方が面白いでしょ」と話す。次はレンゲを育てるつもりだ。

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