がん闘病、意見交わすサロン 山形市内に開設

がんサバイバーらが集い、意見を交わしたサロン=山形市・西村工場

 がんと闘う人たちに思いを語ってもらおうと、仕事を続けながら、がんに立ち向かった山形市の島藤諭完さん(51)が同市内に交流の場を開設した。月1ペースでサロンを開く考えで、働きながら闘病する人が参加しやすいようにと、夜に開くのが特徴。参加者は克服した人や治療中の体験談、医師、看護師側の「ともに戦っている」との思いから勇気をもらっている。島藤さんは「希望を分け合う場になってほしい」と話している。

 先月中旬、平日の午後7時に島藤さんが経営する工場の会議室に山形、天童両市のがん患者3人と医師、看護師の2人が椅子に座って向き合った。初めての会合ながら、和やかな雰囲気。がんと宣告された際に感じた思いや治療の副作用の経験、医師に背中を押された印象的な言葉などを語り合った。

 「社会に復帰できるよう全力を尽くすと言われてうれしかった」「復職時、仕事ができる範囲について、診断書には具体的に書いてもらうことが重要だ」という声も上がった。医師や看護師からは、がんを宣告する際は「正直、怖い」との本音も。一方で、どんなときも「寄り添うことを心がけている」と、ともに戦っている気持ちを示した。

 島藤さんは2017年1月、急性骨髄性白血病と診断された。4カ月間、抗がん剤を投与し、寛解に至った。同社には3人のがんサバイバーが働いている。「がんに関わる人が気楽におしゃべりして本音を吐き出せる場を創りたい」とサロンを企画した。サロンの名称は「がんサバイバーサロン オトナのしゃべりバナイト」。勤め人も参加しやすいよう、時間は午後7~9時に設定した。

 参加した天童市の女性(54)は「みんなが、がんと向き合い、がんばっていると共感し合える場だった」、山形市の男性(55)は「経験を分かち合うことで、不安を感じている人が元気や勇気を感じるのでは」とそれぞれ語った。1人で抱えず、互いに思いを共有することで「少しでも前向きに生きる希望を持ってもらっている」と島藤さんは話している。

 次回は15日午後7時、同社で開催する予定。西村工場のホームページや電話で予約を受け受けている。問い合わせは同社023(622)2325。

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