野焼き原因の火災相次ぐ 長崎市と近郊で11月 その場を離れないなど対策を

5日に発生した火災の焼け跡=長崎市芒塚町

 長崎市消防局管内(長崎市、西彼長与、時津両町)で11月に入り、「野焼き」を原因とした119番通報や火災が相次いでいる。5日には野焼きが原因の火災が3件発生。いずれも人的被害はなく、大事には至らなかったが、山火事や建物火災の原因にもなるとして、同局は注意を呼びかけている。
 3件のうち1件は住宅地が近い場所だった。長崎署などによると、5日昼過ぎ、長崎市芒塚町で、刈った草を燃やしていた火が近くののり面に燃え移った。草を燃やした人がその場を離れ、別の場所で作業をしていたという。建物などへの被害はなかったが、最終的に枯れ草など約1350平方メートルを焼いた。
 市消防局予防課によると、昨年、管内で発生した火災116件のうち、野焼きが原因の火災は最多の22件だった。市廃棄物対策課によると、焼却炉を使用せずに、ごみを燃やす「野焼き」は廃棄物処理法などで一部の例外を除いて禁止。構造基準を満たした焼却炉を用意する必要がある。農業、林業、漁業などを営むためにやむを得ない場合は例外で認められている。
 同課は「野焼きは最悪の場合、火災の原因となるほか、有害物質を発生させる恐れもある。市民から野焼きに関する申請があるが、法律で原則禁止とされているため、市が許可を出すことはない」としている。
 市消防局予防課によると、火災と紛らわしい煙や、火災が発生する恐れのある行為は、市条例に基づき消防署長への事前届け出が必要。10月には寺や発電所などからの届け出が64件あった。同課は、野焼きをする際は初期消火の準備や、完全に火が消えるまでその場を離れないなどの対策を求めている。

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