身近な人を世話する「ケアラー」 当事者含む認知度の向上へ 長崎県が支援推進計画の素案

 親族や友人、身近な人の介護や看護、日常の世話をする「ケアラー」が、援助を受ける人と安心して人生を送れるよう、県は「県ケアラー支援推進計画」の素案をまとめた。本年度実施した実態調査の概要や具体的な取り組みを盛り込み、年度内の策定を目指す。
 取り組みは▽広報・啓発▽人材の育成▽実態把握や早期発見、相談の場や直接支援の充実▽民間支援団体への支援-の4項目。大人の代わりに日常的に家族の介護や家事をするヤングケアラーの支援を含め、各施策にさまざまな分野が連携して取り組む。計画期間は2024~30年度の7年間。
 広報・啓発について素案では、ケアラーやヤングケアラーに対する県民の認知度が不十分とし、「ケアラー自身が支援が必要であることに気付かず、悩みや負担を抱え込んだままの状況を作っている」と指摘。ポスターやリーフレットの制作、シンポジウム開催、セルフチェックシート活用といった対策を掲げている。
 人材育成に向けては、多分野の専門職が参加するケアラー支援研修などを実施。4項目の取り組みには数値目標も設定する。
 今後、有識者会議の意見を聞き、今月開会予定の定例県議会に提出。パブリックコメントを経て本年度中の策定を目指す。県長寿社会課は「ケアラーについて社会的な認知度を高めることで当事者の支援はもちろん、周囲の人が声をかけ、支えるような風潮ができれば」としている。

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