南部鉄器探究し「現代の名工」に選出 盛岡・宮伸穂さん

「先回りしない指導を心がけ、自立した後進を育てたい」と使命感に燃える宮伸穂さん

 厚生労働省は10日、卓越した技能を持つ本年度の「現代の名工」150人を発表した。本県からは盛岡市紺屋町の手込(てごめ)製造工・宮伸穂さん(71)が選ばれた。表彰式は13日、都内で行われる。

 保温性の高さや、さびにくく長持ちするのが特長の南部鉄器。宮さんは同町の釜定本店の3代目として、数百年も残る鉄器の製造を可能とし、従来の南部鉄器の生産開発を発展させてきた。南部鉄器協同組合の専務理事として技術の継承にも力を入れている。

 南部鉄器の技法は、粘土質の土などで作られた鋳型を焼き、湿気をとった後に溶解した金属を流し込む「焼型(やきがた)」による鋳造。古くから伝わる技術を取り入れているが、現在では不明となっている技法も多い。

 現代の名工に選ばれ「自分には無縁だと思っていたので、とても名誉なこと」と喜びつつ「これからも腕を磨き続け、一人前の職人を育てていく」と決意を新たにする。

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