カラダだけの関係の男性と結婚したら…ある女性から学ぶ「本当に幸せな結婚」とは

いつの時代にも「カラダだけの相手」と関わっている人は存在します。

そのような関係になる理由の多くは、「寂しいから」「退屈だから」「必要とされると感じるから」、「本気で付き合ってくれる人がいないから」など、真面目な人から見ると理解しがたいものかもしれません。

ところが中には、寂しいというより「互いの利益が一致した」という理由で付き合っている男女がいるのです。

「互いの利益」というのは性欲。

「肉体関係だけの相手」というのは、本気で愛する人とは真逆な存在なのです。互いに「遊び」と割り切っているわけですから、ドライな関係といえるでしょう。

もし、一方が「遊び」ではなく、本気で愛してしまったらどうなるのでしょう。言うまでもなく、愛してしまったほうが辛い気持ちで過ごすことになります。ふたりのバランスが崩れて利害の不一致が起こり、関係が終わることも。

とはいえ、中には「肉体関係だけの相手」と結婚した女性もいるのですから、男と女の関係は不思議なものですね。

ではその女性はどのような流れでカラダの関係だけの男性と結婚したのでしょう。そして気になる結婚生活はどのようなものだったのでしょう。

その後の女性の人生を追いながら、女性にとって幸せな結婚とは何かを探ります。

カラダだけの関係から結婚!ある女性が経験した波乱万丈の結婚生活

性に奔放になるきっかけ

高校生時代は地味だったという朱里さん(仮名)。

性格が変わったのは、女子大に入学してから。友達の誘いで、代理店のイベントバイトで、代理店の人からナイトワーク系のバイトをすすめられ、その気になって友達と応募し、採用されたそうです。

華やかな世界は刺激的でしかも高時給でしたが、嫉妬や羨望と紙一重の世界のため、これまで控えめだった朱里さんは驚きの連続だったそうです。

幸いにも自分を守ることが得意だった朱里さんは、女同士の争いに巻き込まれず、社会勉強を兼ねながらナイトワークをそれなりに楽しんでいたとか。

「恋愛に奥手だったし仕事を辞めたくなかったから、お客さんとは恋愛に発展しなかった。それが良かったかも。同期で入店した女性がお客さんと恋愛したことでごたごたがあって、辞めたということもありました」

付き合うことはなかったけれど、デートに応じて同伴入店もしていた朱里さんは、様々な男性を知ることができて「男性を見る目が磨かれた」と喜んでいましたが、世の中はそんなに甘くはなかったのです。

最初の「肉体関係だけの相手」

朱里さんの女子大生時代は、彼氏ができても長くて3ヶ月ほどしか続かず、別れては別の人と付き合うという「恋愛ごっこ」のような日々でした。

就活で苦労した朱里さんもやっと一般企業に就職先が決まり、大学4年になるとナイトワーク系のバイトに加え、土日は地方のホテルの宴会などのコンパニオンのバイトを開始。

そこで知り合った10歳年上の男性と「肉体関係だけ」の付き合いになったそう。

食事をごちそうされたりプレゼントをもらったりしましたが金銭の授受はなく、一見するとパパ活にようですが、朱里さんは「カラダの関係だけ」と否定。パパ活は与える側と受け取る側と分かれるため、関係が不平等だけど、肉体関係のみはお互いに割り切っているので、その意味で平等だというのです。

独身の彼氏もいる上に10歳年上の男性と不倫の肉体関係にと奔放な朱里さんでしたが、父親にナイトワーク系のバイトもコンパニオンのバイトもバレてしまい大反対され、「普通の女子大生に戻ります」と約束させられて、卒業まで父親から監視されたそうです。

最初の結婚は価値観の相違で失敗

社会人になった朱里さんは、ナイトワーク系の世界と世間の常識のズレに気づき、「楽しく過ごしていた分だけ、私はバチが当たるかもしれない」と少し警戒しながら社会人生活をスタートしたそうです。

研修期間を終えて、いよいよ配属先で仕事がスタートすると「社会人としてやっていけるのだろうか」と不安を感じると同時に、ナイトワーク系のバイトが恋しくなった朱里さん。

ストレスが溜まってしまった朱里さんは、以前の勤務先のナイトワーク系の店から「姉妹店ができたから、週末でもいいからバイトしない?」という誘いに「金曜日だけなら」と応じてしまったのです。

金曜日が待ち遠しくなった朱里さん。ところが1年も経たないうちに、父親にバレてしまってまたもややめざるを得なくなります。

「息抜きのバイトのおかげでサラリーマン生活に耐えられたのに、父親が邪魔をする。独身のままだと父親から監視されっぱなしになる」と危機感を覚えた朱里さんは、父親から逃れるために、婚活を開始します。

25歳の時に、10歳年上の大手企業のサラリーマンと結婚し、父親の干渉からやっと逃れることができたのですが、結婚が失敗したことにすぐに気づいたといいます。

「その人は結婚前は優しい人でしたが、結婚してから自分の都合やスケジュールに合わせることを強制するようになりました。

自由な働き方をしたいと、会社を辞めて花屋でバイトを賛成してくれたのに、『養ってあげている』という上から目線になってきて」

何より、時間に几帳面な真面目が生活を息苦しくなった朱里さんは、1年で離婚します。

「結婚前に価値観をすり合わせていくべきでした」と後悔する朱里さん。干渉しすぎる父親から逃れたいという目的が優先の結婚の結末でした。

バツイチ同士で5年間の事実婚

バツイチになった朱里さんは、手に職をつけようとSEを目指します。幸いなことに適職だったため、転職。再就職したソフトウエア開発会社は成果主義で、仕事さえこなしていれば比較的自由だったとか。

「20代後半から5歳年上のバツイチ男性と5年間同棲し、事実婚状態でした。父親は籍を入れろと相変わらずうるさかったのですが、互いにバツイチ同士なので結婚という重圧が嫌だということと、別れたらバツ2になるという不安もあったせいでしょう。

積極的に入籍したいと思えなかったですね」

子どもができたら入籍するだろうと、ぼんやりと思っていた朱里さん。結婚に対して前向きではなかったため、事実婚のまま時間が流れていったのです。

その後、33歳の時に運命的な出会いが訪れます。

7歳年上の男性とのひょんな出会いが…

朱里さんは、7歳年上の社会的に尊敬されるような職に就いている男性とひょんなことから知り合い、肉体だけの関係になります。

「彼にも事実婚の女性がいたので、互いにそれぞれの相手のことを考えて、秘密にすることに。決して恋ではなかったですね。だってときめきがないから」

ではなぜその男性と付き合うことになったのでしょう。

「事実婚の彼との関係がマンネリ化していたからです。最初のうちは『子どもを作ろう』という話題もありましたが、子どもに恵まれず5年も経つと、まるで同居人のような存在でした」

かといって、別の男性と恋愛したいという気もなく、また仕事も楽しくなってきた分、収入も増えていったといいます。

「自分が稼いだお金で、旅行も趣味もと、いろんなことが自由になりました。最初の結婚の屈辱を払しょくさせることができたんです」

事実婚関係を壊さずに、他の男性とも付き合うベストな方法が「肉体だけの関係」だったそうです。

遊びのつもりがずるずると…

秘密は、念入りに緻密に隠し通すという決意と手段があってこそバレないもの。そうでないといつかは隠せないものになるのです。

朱里さんも同様です。ふとしたことから事実婚の彼に7歳年上の男性のことがバレてしまい、事実婚の彼に「あの人と別れる」と宣言して7歳年上の男性に別れ話をしたのですが、「むしろ別れられなくなった」といいます。

男女の関係は本当に不思議なもので、別れまいと必死になると別れがやってきたり、別れようとしたら別れられなくなってしまったり。

そこで朱里さんは事実婚の相手に嘘をつくことにしますが、彼はそれを見抜いて家を出て行ったのです。

7歳年上の男性も彼女に朱里さんのことがバレてしまい、「別れられなくなった」と正直に告げると、彼女も同じように出て行ったそうです。

こうしてカラダの関係だけだったふたりは、結婚することになったのです。

7歳年上の男性と結婚したら…

肉体関係だけの彼氏となぜ別れられなくなったのか。朱里さんは次のように語ります。

「彼の仕事を尊敬していたからでしょうね。人としては、私と同じように最低でしょう」

最低同士の結婚、破局は早かったそうです。

「カラダの関係だけの相手ですから、ちょっと遅く帰宅すると、他の女性に会っていたんじゃないかなと、浮気を疑ってしまうんです。彼も同様だったようです」

結婚したものの、お互いに疑心暗鬼になってしまい、信頼関係が築けなくなったそう。それぞれの過去が二人の縁のゆくえを決めていったといえるでしょうね。

再々婚までの長い道のり

20代、30代で、男女関係の酸いも甘いもすっかり熟知してしまった朱里さん。

結婚は懲り懲りと思いきや、40代初めに知り合ったサラリーマンと10年がかりで再々婚したそうです。

「離婚して独身に戻ると、父親からまた干渉されてうんざりしていたんですが、それが原因というわけではないですね。アラフォー以上の自分がおひとり様で生きていくことが想像できなかったからです」

チャンスがあればまた結婚したい。結婚に対する朱里さんの諦めない気持ちが、「探す」というアンテナを刺激したことでしょう。

次の彼は1つ年上のサラリーマン。バツイチで、バツ2の朱里さんとじっくりと愛情を育んでいきたいと話したそうです。

3年つきあって、4年目に同棲。8年目に入籍しました。知り合ってから10年の間、一度も喧嘩をしたことがない仲の良い夫婦で過ごしているとか。事実婚、再々婚でやっと幸せを手にしたそうです。

様々な結婚の形を経験した朱里さん。朱里さんの経験からは、結婚に関する教訓を見出すことができます。

・互いの価値観を確認して、すり合わせてから結婚に至るほうが良い
・事実婚が長引くとほころびが出る可能性も大きい。関係性を見直すことも大事
・相手の仕事を尊敬していても、人間性を尊敬できないと破局になる可能性大
・時間をかけて愛を育むカップルは、価値観のすり合わせもできて相性もバッチリ!

結婚の成功と失敗は、「カラダだけの関係から始まった」などのスタートに左右されるものではないと心得たいですね。

(mimot.(ミモット)/ 夏目 かをる)

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