紡ぐ、綾織の伝説と昔話 遠野・高橋さん、貴重な声も収録し出版

ナミ子さんの遺影の前で「とおのものがたり 天女伝説の郷 綾織史」を持つ高橋好子さん

 岩手県遠野市綾織町の元保育士高橋好子さん(76)は地域の歴史や伝説、方言などをまとめた「とおのものがたり 天女伝説の郷 綾織史」を自費出版した。地域に住む大正、昭和初期生まれの高齢者65人に2008年から聞き取りし、貴重な声も収録。15年かけて完成させた。

 「綾織史」は▽伝えたい綾織の歴史▽綾織地区の伝説と史跡▽地名と屋号―など8章で構成する。自身が調べた内容に加え、「屋号『蓮沢(はすざわ)』の菊池さん」などとして住民から聞き取った内容もそれぞれまとめた。

 1章では「昔この土地に天人が天降って、綾を織った」とする綾織の地名の基となり、本の題名にもなった天女伝説を、遠野物語拾遺(しゅうい)(1935年)などから紹介。江戸時代の遠野の一揆も調べ、1803(享和3)年に地元から始まった大規模な百姓一揆については、首謀者一族の関係者にも話を聞いた。

 B5判158ページで、150部作成。同市中央通りの神田屋で1500円で販売する。問い合わせは高橋さん(0198.62.5596)へ。

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