砂鬼「サンドーラ」に悲鳴と歓声 五島・玉之浦で奇祭「大宝の砂打ち」

サンドーラから大量の砂を浴びせられる子ども=五島市玉之浦町

 奇祭「大宝の砂打(ずなう)ち」が12日、長崎県五島市玉之浦町大宝地区であった。頭にわらをかぶり、顔などに墨を塗った「サンドーラ」と呼ばれる砂鬼たちが沿道の見物人に次々と砂を投げ付けた。
 約200人が暮らす半農半漁の大宝地区。砂打ちは豊作豊漁や無病息災を願う言代主(ことしろぬし)神社の秋祭りの一環で、国選択無形民俗文化財。サンドーラに砂をかけられると、災厄や疫病が払われるとされる。
 笛と太鼓のはやしが響く中、てんぐや獅子を連れた列が集落を巡った。くわなどの農具を持った住民らはたびたび農作業の所作を披露した。
 砂が入ったかごを手にしたサンドーラは列を離れ、見物人に砂をつかんで投げ付けたり、頭から浴びせたりした。怖くて泣きじゃくる子どももいて、普段静かな集落は悲鳴や歓声に包まれていた。

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