アミュ新館オープン

 「かもめ族」と聞いて懐かしさを覚える人もいれば、「なぁに?」という若い人もいるだろう。主に1990年代、長崎と博多を結ぶ特急かもめで、福岡市へと買い物に出かける人々をこう呼んだ▲かつて記事にしたことがある。2000年の1年間で、福岡市に買い物に行った人がどれほどいたか? 長崎市でも佐世保市でも実に3割を超えていた▲その年、県都にはアミュプラザ長崎といった大型商業施設が相次いで開業したのに、福岡行きに歯止めがかからなかった。今でこそ「かもめ族」とは言わないが、「かもめ」が新幹線を指す今も「買い物は福岡で」という人は多いと聞く▲地元が物足りないならば、という発想だろう。これまで「長崎に足りない」とされてきたファッションなどを充実させたという。JR長崎駅ビルの「アミュプラザ長崎新館」が開業した。消費者の心の“的”が地元へと向く商機や勝機になるといい▲外観も内装もおしゃれで、開放的で、緑もある。テレビのインタビューで、若い女性が「今までの長崎とは違う都会的な感じ」と答えていたのが印象に残る▲筆者も足を運んでみて「都会的…か。分かるなあ」と、いい年をして素朴な感動に浸っていた。新たな競争の幕開けでもあるが、県都の商業地図の未来を照らす光になることを。(徹)

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