ちょこちょこ世代

 年齢でいうと、ことし19~36歳の人々は「ゆとり世代」と呼ばれる。市場調査を手がける原田曜平さんは10年前の著書の中で、この世代のお金の使い道を「ちょこちょこ消費」と名付けた▲例えば、高級ブランドの服を1着買うよりも、低価格の流行服を10着買う。1万円で朝まで飲み歩くよりも、1日に3軒、カフェに寄る。一気に高額の消費をしないらしい▲今の物価高はどの家庭にも打撃だが、中でもゆとり世代は、どうやってしのいでいるのだろう。住友生命保険は先ごろ、家計にまつわる調査結果を発表した。既婚の5500人余りに聞いたところ、生活費は前年よりも月平均で2万3千円ほど増えたという▲20代では2万7千円台、30代では2万5千円台の増額…と、若い層ほど出費がかさむ。代わりにこの層は、食費や電気代、美容の費用、小遣いと、幅広い節約に余念がないらしい▲月々の貯蓄も投資も、上の世代より多い。10年前の「ちょこちょこ消費」世代はいま、「ちょこちょこ節約」「ちょこちょこ貯蓄・投資」に励んでいるように見える▲学ぶところも多いのだが、必要に迫られてそうしているのが現実だろう。調査では「年収アップが必要」としたのは全体で7割を超えた。「ちょこちょこ」にも限度ってものが…と悲鳴が聞こえるようでもある。(徹)

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