ハピラインふくいに入社した若手社員の心意気 夢の運転士目指し県外からも志願

利用者に切符購入や乗り換えの案内をする仲内駿さん=9月25日、福井県福井市のJR福井駅
列車の運行情報をアナウンスする金丸優月さん=9月26日、福井県福井市のJR福井駅
【グラフィックレコード】若手社員の心意気

 幼い頃から運転士になるのが夢だった。仲内駿さん(21)=兵庫県宝塚市出身=は、大阪の専門学校で鉄道サービスのいろはを学んだ。就職は「開業から関われる、またとない経験」とハピラインふくいを志願し、今年4月に入社した。

 ハピラインは2020年度から新入社員の採用を開始。来春の開業に向け、現在4期生までがJR西日本に出向し、福井県内の各駅で窓口対応や改札業務などに当たっている。社員はJR西や県からの出向者を除けば、8割以上が25歳未満。JRからの出向は開業10年後をめどに解消し、完全プロパー化を目指す計画だ。

 9月下旬の平日、仲内さんは午前11時~午後7時45分の勤務。福井駅構内でJR西の社員に交じり、切符を購入する利用者の補助や運行案内に奔走した。業務内容によって始業時間が異なるが、大抵1時間前には事務所に入る。問い合わせにすぐに対応できるよう、列車の運行状況や駅周辺のイベント情報などを確認してから業務に臨んでいる。

 構内での業務がこなせるようになってから車掌、運転士とステップアップしていく。運転士になるには、国家試験に合格する必要がある。仲内さんは「今は駅構内で接客する仕事しかできないけれど、ゆくゆくは乗客を安全に目的地まで送り届ける運行を担いたい」と意気込む。

 ■  ■  ■

 「人と関わる仕事がしたかった」と話すのは金丸優月さん(19)=福井県鯖江市。「日々の市民の生活を守りたい」との思いから入社を決意した。

 この日は、月に数回ある「泊まり」勤務。午前9時から翌日の同9時まで、主に改札口に立ち、切符の回収や運賃の精算、途中下車の対応、運行状況のアナウンスなどに当たった。

 午後11時~午前4時半は仮眠。起床後はすぐに始発運行に向け、改札のゲートを開けたり、忘れ物や落とし物の確認をしたりした。

 「日々決められた仕事だけでなく、状況に合わせた臨機応変な動きも大切」。急な大雨で列車のダイヤが大幅に乱れたときは、帰路を急ぐ利用者からの問い合わせ対応に追われた。「お客さま一人一人の行き先が違い、案内の仕方も違う。送り届けるという地域交通の役割の大きさを実感した」。そんなとき、利用者から「ありがとう」「助かった」と声をかけられるとやりがいを感じる。

 新幹線県内開業後は多くの観光客が訪れ、在来線の利用者も増えると見通す。「普段の業務に加えて、新幹線の案内も求められるようになると思う。利用者目線の分かりやすい案内をしていきたい」と決意を新たにしている。

⇒【記者のつぶやき】「旅の始まりは切符から」を読む

 ×  ×  ×

 来年3月の北陸新幹線福井県内開業を契機とした新時代の福井のあり方を探る長期連載「シンフクイケン」。の第5章テーマは「ハピラインにバトン」。新幹線開業後、JR北陸線を引き継ぐ第三セクター「ハピラインふくい」の展望や課題を探ります。連載へのご意見やご感想を「ふくい特報班」LINEにお寄せください。

© 株式会社福井新聞社