クマ、「指定管理鳥獣」検討へ 北海道東北知事会要望に国、吉村知事「速やかな追加を期待」 

 東北6県と北海道、新潟県の知事でつくる「北海道東北知事会」のクマ被害対策強化の緊急要望を受け、伊藤信太郎環境相はクマを「指定管理鳥獣」に追加する検討を始めるよう、環境省に指示した。吉村美栄子知事は14日、盛岡市で開かれた同知事会の会議後、「(捕獲に対する交付金など)さまざまなプラス効果が見込める。速やかな追加を期待したい」と語った。

 知事会がこの日の会議に先立つ13日、指定管理鳥獣にクマを追加するよう国に緊急要望していた。

 県みどり自然課によると、今年の県内のクマ目撃件数は5日現在で昨年より300件以上多い691件。記録が残る2003年以降で20年(795件)に次いで多く、クマに襲われてけがを負う人的被害も20年と同数の5件発生している。

 県はツキノワグマの個体数調整を図り、毎年春に約80頭を目安に捕獲しており、本年度は事業費66万8千円を計上した。指定管理鳥獣への追加で、こうした捕獲や狩猟者育成にかかる経費が交付金の対象となる見通しで、夜間の猟銃使用も限定的に可能となる。同課は「住民の危険を迅速に排除できる体制構築のため、適切な支援を期待する」としている。

 知事会の会議では、秋田県の佐竹敬久知事が「クマのいない地域にも状況を理解してもらうことが重要。国が分断されることがないようにしなければならない」と強調した。

 オンラインで参加した北海道の三橋剛総合政策部長は、ヒグマの推定頭数が30年間で2倍になっていると説明。「10月末時点の道警への通報件数は3720件で、過去5年間で最多。人身事故発生が強く懸念されている」と危機感を口にした。

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