有明海つなぐアート展 佐賀など沿岸4県でイベント 若手芸術家、EDAUMEで展示

発泡性の釉薬によるオブジェと黒木由美さん

 佐賀県など有明海沿岸の4県にまたがるアートイベント「ONE有明アートフェスティバル」が12月3日まで、沿岸一帯で開かれている。佐賀市では、長崎街道沿いの醸造所だったEDAUME(旧枝梅酒造)を会場に、若手アーティストたちが築100年以上の歴史を生かした新たなアート空間を生み出している。

 「えだ、わざ」と題した若手工芸アーティスト展をはじめ、若手現代アーティスト展「こっちこっち」、障害者アート展を同時に開催している。

 このうち、「えだ、わざ」展は、佐賀大大学院地域デザイン研究科出身、または在籍中の3人が出品した。陶芸家の黒木由美さん(32)は、発泡性の釉薬を素材にしたオブジェを発表。染色の津村光璃さん(23)は深みのある紺色で壁面を飾った。漆芸の白浜遼さん(24)は段ボールを漆で覆った造形作品を配した。いずれの作品も落ち着いたトーンで、新たな調和をもたらしている。

 黒木さんは「素材を追求しながら新しい表現を求める姿勢が3人に共通していて、相性が良かった」と話す。黒木さんら3人による前期展示は22日までで、28日からの後期は陶芸の辻拓眞さんらが出品する。

 10日に開かれたオープニングレセプションでは実行委会長で、沿岸の観光協会で作る環有明海観光連合会長の白石政嗣会長が「有明海沿岸は宝の山だ。海外や全国から来る人たちをアートでもてなしたい」とあいさつ。経済同友会(東京)の岡野貞彦事務局長も駆け付け、後押しする考えを述べた。

 期間中、10月に「有明海一周サイクリング」が行われたほか、現在は福岡市でグループ展「ACTIVATE その先にあるもの展」(15日まで)、熊本県荒尾市で「万田坑芸術祭」(12月24日まで)が開かれている。(古賀史生)

ブルーを基調にした染色作品と津村光璃さん
段ボールの下地に漆を施した作品を出品した白浜遼さん

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