「大井川流域の気持ちに沿わないといけないが…多角的に見ることは必要」自民静岡県議団がリニア工事“発生土置き場”を視察 地権者は「工事やむを得ない」

着工の目処が立っていないリニア新幹線の静岡工区をめぐる動きです。大井川の水問題については、解決の道筋が見えはじめた中、次の焦点となっている工事の発生土置き場の状況などを確認するため自民党の静岡県議団が11月15日、現地を視察しました。

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15日、リニアの静岡工区を視察したのは、静岡県議会の最大会派・自民改革会議の県議7人です。

静岡工区をめぐっては、静岡県が工事で出る土の置き場や生態系などについて懸念があるとして議論が続いていて、着工の目処は立っていません。

<静岡県 川勝平太知事>
「現在、有識者会議でまとめられる報告書は大枠だけ。県としては今後も議論が必要な課題が残されていると認識している」

「みなさんがいま立っているところ。ここに発生土を盛り土する予定」

トンネル工事で出る土砂を置くための候補地「藤島」です。JR東海は、工事で発生する重金属を含んだ土砂を盛土することを計画していますが、県は「盛り土条例に違反する」として認めていません。

発生土置き場となっている「ツバクロ」も視察しました。

<JR東海職員>
「いま、一番近いトンネルの現場からは“ツバクロ”まで1.5km。その区間だけのダンプの利用になるので、南アルプスに与える影響を極めて少なくできる」

JR東海は、東京ドーム3個分とされる発生土の大半を「ツバクロ」に置く計画ですが、県は、土石流の発生などを懸念し、難色を示しています。

一方、視察には、発生土置き場の地権者も同行し、工事に対して前向きなコメントをしました。

<地権者 十山 鈴木康平取締役>
「(リニア)工事を受け入れる。自然環境は“万が一”という事もあるかもしれないが、リニアという新しい交通手段、インフラができるためにはある程度のことはやむを得ない」

<自民改革会議 増田享大代表>
「まず、(大井川)流域のみなさんの気持ちに沿わないといけない。冷静に見なければいけないし、一方で多角的に見ることはすごく必要。(地権者の)十山さんの話を聞けたのは有益だった」

工事による大井川の水問題をめぐっては、田代ダムの取水を抑制し、水量を確保する案がまとまりつつある中、今後は、発生土置き場が議論の中心に。川勝知事のゴーサインが出ることはあるのでしょうか。

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