郵便局で診療OK 総務省など、七尾・南大吞で実験開始

郵便局内に設けられたオンライン診療の専用個室=七尾市花園町

  ●2人利用「負担軽くなる」

 周辺に医療機関がない「無医地区」の七尾市南大吞(おおのみ)地区で15日、郵便局でオンライン診療を受けられる全国初の実証実験が始まった。総務省と日本郵便が連携して3カ月間で効果や課題を調べる試みとなり、全国の山間地や離島の郵便局での「七尾モデル」の導入につなげる。初日は地域住民2人が利用し、「通院の負担が少なくなる」と歓迎する声が聞かれた。

  ●2024年2月16日まで 毎週水金曜

 実証実験が始まったのは、富山県境に位置する七尾市花園町の南大吞郵便局。オンライン診療は高血圧や糖尿病など慢性疾患の患者が対象となり、来年2月16日までの毎週水、金曜午後2~4時に受け付ける。

 南大吞郵便局にはモニターや通信機器を備えた個室が設けられた。患者はモニター越しに、同郵便局から約10キロ離れた「ねがみみらいクリニック」(万行2丁目)の診療と、アルプ薬局七尾万行店の服薬指導を受け、局員がインターネット通信に不慣れな高齢者をサポートする。健康保険証を提示してオンライン診療を受けた後、窓口で診療代を現金で支払い、処方箋がある場合は郵便局が薬を届ける。

 南大吞郵便局で総務省や県、市によるセレモニーが行われ、北陸総合通信局の菱田光洋局長や日本医師会の佐原博之常任理事(さはらファミリークリニック院長)、日本郵便北陸支社の加納聡支社長らが無医地区の医療充実へ期待を込めた。

 ねがみみらいクリニックによると、患者の中には車を持たず、通院が難しい人も少なくない。南大吞地区では10人程度がオンライン診療を利用する見込みで、70代の女性は「待ち時間が少なく、通院手段がない人にとっては大変助かる」と話した。

 石川県医療推進室によると、県内には南大吞地区を含めて七尾、輪島、珠洲、白山、穴水の5市町14地区が無医地区となっている。根上昌子院長は「オンライン診療は対面に比べて患者の情報が限られ、注意する必要があるものの、患者が診療を受けやすくなるメリットは大きい」と話した。

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