コシヒカリ作付1割を転換 猛暑対策でJAとなみ野

コシヒカリの田植えを行う農家。今夏の猛暑による高温障害を受け、JAとなみ野は暑さに強い品種への転換を推奨した=2019年4月、砺波市東開発

  ●高温に強い富富富などに 上位等級確保へ

 今夏の記録的な猛暑による富山県産米の主力コシヒカリの高温障害を受け、JAとなみ野は15日、2024年産コシヒカリの作付面積を現行の7割超から6割に減らし、高温に強い富山米新品種「富富富(ふふふ)」など3品種に転換する方針を固めた。1等米の比率が大幅に低下し、生産農家が大打撃を被る中、暑さに強い米作りを進め、上位等級の確保で組合員の所得向上につなげる。

  ●来年産で数値目標

 砺波市のJA農業機械センターで同日開かれた「高温に強い米作り」生産者大会で、同JA側が生産者に対し、来年産の作付目標面積を示した。

 コシヒカリは今年産に比べ368ヘクタール減の2200ヘクタールとし、主食用全体に占める比率は60.2%に下げる。一方、高温に耐性のある富富富は56ヘクタール増の150ヘクタール、稲の生育に重要な「登熟期」の高低温や日照不足に強い早生(わせ)品種「てんたかく」は110ヘクタール増の800ヘクタールに拡大する。冷めてもおいしくコンビニのおにぎりや弁当向けで需要拡大を見込む低アルミロース米「つくばSD2号」も190ヘクタール増の500ヘクタールとした。

 県が生産拡大を目指す富富富に関しては、24年産から新たに砺波ライスセンターで受け入れを行い、品質の均一化を図る。今後、施設利用の奨励措置も検討し、12月19日までに富富富の生産者を募る。

 作付面積を減らすコシヒカリでは、今年産で5月中旬前の田植え分がほぼ2~3等米となった反省から、5月中旬~下旬の遅植えを推奨し1等米比率の向上を目指す。

 北陸農政局が10月末に発表した今年産米穀検査結果では、県産米の約7割を占めるコシヒカリの1等米比率が43.6%となり、データを公表した09年産以降で最低となった。一方、富富富は95.1%と高水準を保ち、明暗が分かれた。

 JAとなみ野管内でも今年はコシヒカリに高温障害が見られた。6日時点で1等米比率が49.9%となり、22年産の81.0%から大幅に落ち込み「大変厳しい状況」(土田英雄組合長)という。一方、てんたかくは97.2%、富富富89.3%、つくばSD2号90.8%と、来年作付を増やす品種はいずれも前年並みの水準を維持した。

 JAとなみ野の雄川勉経済部長は、コシヒカリの生産も重要とした上で「これ以上の高温対策には大胆な遅植えしかない。今後は高温に強い他の品種と組み合わせ、一等米比率を確保したい」と強調した。

JAとなみ野の「高温に強い米作り」生産者大会=砺波市の同JA農業機械センター

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