珠洲に複合滞在施設 宿、サウナ、チャレンジ店…

滞在施設への改修が計画される古民家=珠洲市真浦町

  ●古民家改修、循環型の暮らし体験 25年春開業

 珠洲市真浦町に2025年春、循環型の暮らしを体験できる滞在施設が誕生することになった。地域の古民家を改修し、宿泊や祭りの際に利用できる広間、温浴施設、チャレンジショップを備えた複合施設となる予定。滞在者に海や山の恵みを受けた先人の暮らしを体感してもらい、移住促進や空き家解消につなげる。18日からは金沢市内でプロジェクトに関する企画展(北國新聞社後援)を開催し、取り組みを広く発信する。

  ●国交省モデル事業に

 建築設計・地域再生に取り組むENN(金沢市)が中心となって整備を進める。国土交通省の空き家対策モデル事業として国の支援を受ける。

 真浦町では2020年から、宿泊事業などを手掛ける「こみんぐる」(金沢市)が「100年後の豊かな暮らし」を目指して「現代集落」と題した実験事業を展開。ENNなど石川県内外から多彩な職種の約60人が参画し、オンラインサロンで再生エネルギーや耕作放棄地の活用などアイデアを出し合っている。

 実験事業を進める中で、持続的に取り組みを行うための第一歩として新たに古民家を取得し、滞在施設の建設を進めることになった。

 改修予定の古民家は、海べりの傾斜地に建つ昭和40年に建てられた木造2階建てで、ここ10年ほどは空き家となっていた。宿泊スペースに加え、板の間に囲炉裏(いろり)のある1階広間は地域の人が集まったり、「ヨバレ」をしたりできる場にする。奥能登国際芸術祭(北國新聞社特別協力)でおなじみの塩の芸術家、山本基さんのアートも展示する。

 2棟ある土蔵の一つは高台の立地を生かして眺望を楽しめる浴室やサウナを設け、温浴施設としても開放する。もう一つはキッチンとともにチャレンジショップとして活用し、珠洲で出店を計画する人向けに貸し出す。来年に着工、夏には修復を終え、25年春の正式オープンを目指す。

  ●金沢で企画展

 プロジェクトを紹介する現代集落企画展は18~26日に金沢市の里見町アパートメントで開く。施設の建設に向け、インターネット上で支援も募る。

 ENNの小津誠一代表は「集落を知ってもらい、近代化の波にさらされなければ続いていたであろう『現代集落』の姿を考えてもらいたい」と話した。

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