ノーベル平和賞受賞者が語る“ガザ危機”「子どもたちの安全が統一すべき問題…子どもたちはみんな、私たちの子ども」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。11月10日(金)放送の「New global」のコーナーでは、キャスターの堀潤が行った“ガザ危機”に関するノーベル平和賞受賞者へのインタビューの模様を紹介しました。

◆ノーベル平和賞受賞者が考える"国際社会”とは?

前日9日(木)の放送では、アラブの春を主導しアラブ人女性として初めてノーベル平和賞を受賞者したタワックル・カルマンさん、2011年にノーベル平和賞を受賞者した西アフリカ・リベリアの平和活動家リーマ・ボウイーさんにガザ危機について、さらには"国際社会とは誰なのか”話を伺いました。この日はさらに2人のノーベル平和賞受賞者にキャスターの堀潤がインタビュー。

まず話を伺ったのは、インドで児童労働撲滅のために活動し、2014年にノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティさん。

国際社会の現状については、「戦争は人間がまだ文明化されていない証拠。だから戦争が続く。国際連合という考え方全体が危機に瀕している」と国連への懸念を示します。

そして、今、最も重視すべきこととして挙げたのは"子どもたちの安全”。「子どもたちの安全が統一すべき問題だと思う。パレスチナの子どもたちは私たちの子どもであり、イスラエルの子どもたちは私たちの子どもたち。だから、私たちは対話を始めて、その対話はやがて平和に到達するはず。子どもたちはみんな、私たちの子どもなのだから」と戦地で喘ぐ子どもたちを憂慮。

一方、2003年にイラン人初のノーベル平和賞を受賞した人権派女性弁護士のシリン・エバディさんに国際社会について聞いてみると、「第一にみんなが考えなければならないのは、全ての国、あるいは国民の運命はつながっていること」と話します。

そして、「ただ、最大のウイルスといえば、やはり"不平等”というウイルス。それを治療するためには、全ての国、国家同士あるいは国民は国際社会という枠組みのなかで協力していくべきだと思う。国際社会とは家族のようなものであるべきだ」と主張。

スーダン、シリア、香港などでは独裁者が実権を握っていますが、そうした独裁者に対抗するためには何をすべきなのか。堀からの質問に、「まず市民社会は一人ひとり、市民の団結があるべき。その上で彼らに独裁者と対抗する術を教えるべき」とエバディさん。それは何かといえば"暴力なき抵抗”。エバディさんは「暴力が生むものは暴力だけだ」と力強く語ります。

◆子どもを守る、"親”のような国際社会を…

堀によると、今回のインタビューでエバディさんは「独裁者に対抗するのは暴力なき抵抗」という話の後には、自身が目の当たりにしたイランでの抵抗運動の歴史も話してくれたそう。なぜなら、「非暴力で抗議している様子こそ人々の心を動かし、それが全国、全世界に広がっていく話だから」と堀は補足します。

また、サティヤルティさんは子どもたちの安全に関して、「なぜ対話から始めないのか」と疑問を呈しつつ、「日本はまさにそうしたことが発信できる。それだけの立場、歴史、道徳的観念があるのではないかと、もっと言うべきというような話をされていた」とインタビューを振り返ります。

2人のノーベル平和賞受賞者の話を聞き、食文化研究家の長内あや愛さんは「つながれる部分を見つけてつながること、それが大切なんだなと改めて思った」と感想を吐露。

アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは、「"人権”という言葉は、今、生きている私たちが占有しているものという前提があるが、実はそうではなく、例えば私たちが行った政策が何世代か後に響くこともある。私たちも前の世代がやったことにしわ寄せを食らっているものもある。そうしたコミュニタリアニズムという考え方が少しずつ浸透してきてはいるが、まだまだ足りない」と現状を指摘。

さらには、「やはり、子どもたちのためにというところでは合致できるはずなのに、誰しもそこに気づけないというのは、人権意識がまだまだ足りない証拠だと思う」とも。

お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さんは、堀のインタビューから国際社会というものの輪郭が少し見えたとし「ある方は(国際社会を)"家族みたいなもの”と言い、一方で"団結すべき”と言っていて、やっぱりいろいろな地域で歴史的ないざこざなどがあり、他国の人間には分かりづらいものだけど、そういうことは関係ない。それを軽やかに乗り越え、国際社会というのは"子どもたちの親”」と熱弁。「親が子どもを守るような力強い国際機関みたいなものが出てきてほしい」と切望します。

キャスターの豊崎由里絵は、エバディさんの"全ての国、国民の運命はつながっている”という言葉に重たさを感じたといいます。各国メンツを気にしている場合ではなく、さらにいえばG7の議長国である日本はもっともっと主張するべきとし、「今は日本がやれるチャンス。もっとリーダーシップをとって、やっていってほしい」と望んでいました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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