ながさき農林業大賞 イチゴ栽培家本多さん夫妻(南島原)最高賞 デジタル技術で効率経営

最高賞の受賞を喜ぶ本多さん夫妻=南島原市西有家町

 本年度の「ながさき農林業大賞」で、南島原市西有家町のイチゴ栽培農家、本多衛治さん(42)、裕子さん(40)夫妻が最高賞の農林水産大臣賞・知事賞に選ばれた。最新のデジタル技術を活用して効率的な農業経営を行い、高品質、高収益を実現したことが評価された。
 同大賞は、地域の特性を生かした先進的な取り組みで成果を上げている農林業者を対象に、県やJA県中央会などでつくる運営委が表彰し18回目。本多さん夫妻がエントリーした施設野菜など計16部門に35の個人・団体が応募。このうち11部門で知事賞が決まり、その中から最高賞1件を選んだ。表彰式は18日、長崎市内で開かれる。
 衛治さんは実家がイチゴ栽培農家で、2003年に就農した。ビニールハウス40棟(89アール)で「ゆめのか」「こいみのり」の2品種を栽培している。長崎、諫早両市や熊本の計約50の先進農家を視察するなど、イチゴ栽培の技術を高める努力を重ねてきた。
 近年は「年老いた両親に楽をさせたい」という思いから、デジタル技術を生かした「スマート農業」を積極的に導入。農業用観察システムを使ってハウス内部の温度や湿度、日射量、二酸化炭素(CO2)濃度などをスマートフォンで管理している。
 これまで栽培環境の調節は農家の経験や勘に頼る部分が大きかったが、24時間態勢でさまざまなデータを収集する同システムを生かし、よりベストに近い状態で栽培ができるように。「ハウス管理の徹底で甘味を引き出せるようになり、高評価をもらえるようになってきた」と喜ぶ。
 裕子さんは農作業だけでなく、外国人材への指導や給与計算など経理面で衛治さんを支援。「スマート農業を導入してから、夫は早朝から深夜までハウスを見回らなくても良くなったし、自分自身も仕事と家事の両立が以前より楽になった」と笑顔で語る。
 夫妻は「将来的には市場に出せない規格外のイチゴを有効利用してジャムやデザートなども製造したいし、農業体験を通して地域にも貢献したい」と抱負を語った。

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