白鷹3給油所が統合、新会社 「マイスリー白鷹」18日オープン

改修を終えた新拠点に立つマイスリー白鷹の(左から)山口陽一郎専務、松下茂社長、佐藤貴光常務。地元給油所の維持を目指し、経営3者が新会社を設立=白鷹町荒砥乙

 白鷹町内のガソリンスタンド(給油所)3店舗が統合し、新会社「マイスリー白鷹」として18日、グランドオープンする。それぞれの店舗を経営している3社の給油部門を分離し、新会社に引き継ぐ。経営難による統廃合が全国で進む中、地元企業が手を携えて地域の給油インフラを維持する考えだ。県石油商業組合によると、統合は買収によるものが多く、こうした事例は珍しいという。

 町内4給油所のうち、ENEOS系の松下商店(松下茂社長)と、ともに出光系のカク上山口商店(山口陽一郎社長)、佐藤燃料店(佐藤貴光社長)の3店舗が一つになる。新会社は松下さん(58)が社長、山口さん(56)が専務、佐藤さん(52)が常務に就いた。

 店舗は同町荒砥乙の国道348号沿いにある佐藤燃料店の店舗を改修する。仕入れは継続的な援助の確約を得たアポロステーション(出光系)を引き継ぐ。従業員は3店舗から希望者を引き続き雇う。

 「うちのスタンドを買い取ってくれないか」「うちも悩んでいる」―。経営者間のそんなやりとりから3者連携が始まった。人口減少や自動車の燃費向上を背景に、町内に10カ所ほどあった給油所は減少の一途。松下さんによると、自社の販売量はピーク時の7割ほどに落ち込んでいた。老朽化した地下タンクの更新費も高額で、それぞれが頭を抱えていたという。撤退にかかる経費や従業員の雇用維持も踏まえ決断した。

 約2年がかりで準備を進め、山形、きらやか両銀行から同額折半の協調融資を取り付けたほか、設備投資費用として全国石油協会の補助を受けた。町は企業立地促進事業費補助金約2500万円を独自支援し、計画を後押しした。

 松下さんは「『地元スタンドをなくしてはならない』というのが共通の思い。これからがスタートだ」と決意をにじませた。

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