朝乃山、19日から出場 貴景勝と初戦、全勝で勝ち越し

 左ふくらはぎ痛で大相撲九州場所を初日から休場していた、元大関で東前頭筆頭の朝乃山(29)=富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋=が8日目(19日)から出場することが18日、決まった。復帰の一番は先場所優勝の大関貴景勝戦が組まれた。残る8日間を全勝すれば勝ち越しとなり、来年1月の初場所で三役返り咲きの可能性を残した。

 8日目に出場しなければ、新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所出場停止から昨年名古屋場所で復帰して以降、初の負け越しが決まる状況だった。

 朝乃山は10月末に秋巡業で負傷し、日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を提出して休場。出場停止中を除き、初日からの休場は初めてだった。

 全休となると、幕内最下位近くまで番付が一気に落ちる見通しだ。例え負け越したとしても、一つでも多く白星を重ねれば、番付の降下を最小限にとどめることができる。

 今年1月の初場所で「年内の三役復帰」を宣言した朝乃山。7月の名古屋場所では左上腕の負傷で途中休場し、12日目から再出場すると無傷の4連勝で千秋楽に8勝目を挙げ、勝ち越しを決めた。崖っぷちの状況からはい上がり、「返り三役」へ着実に歩を進めてきた。

 夏には富山県内で行われた巡業で地元のエールを存分に受け、県民に喜んでもらいたいとの強い思いで土俵に上がってきた。来年の初場所で三役復帰を狙った朝乃山にとって、踏ん張りどころを迎えている。

 師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)によると、17日に朝乃山から「出たい」と申し出があり、本人と相談して決定した。高砂親方は「心配なところはあるが、四股やすり足ができるようになってきた。出るからには最後まで。けがなく取ってほしい」と語った。

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