アニメ・漫画文化は富山を豊かにする宝 南砺でシンポ、識者4人語る

富山とアニメの関係について語り合う(左から)佐古田、相馬、宮本、大石の各氏=南砺市クリエイタープラザ桜クリエ

 富山新聞創刊100年を記念した「アニメEXPO」の一環として、シンポジウム「富山の宝、アニメ&マンガと歩んだ15年を振り返る」が18日、南砺市クリエイタープラザ桜クリエで開かれた。識者4人が語り合い、富山のアニメ・漫画文化が地域を豊かにする宝であることを再認識した。

 アニメ制作会社ピーエーワークス(南砺市)取締役で、10日に全国公開された劇場アニメ「駒田蒸留所へようこそ」プロデューサーの相馬紹二氏、富山県立大教養教育センター教授の大石玄氏、一般社団法人地域発新力研究支援センター代表理事の佐古田宗幸氏、宮本南吉富山新聞社報道局長が登壇した。

 ピーエーワークスの出世作となったアニメ「true(トゥルー) tears(ティアーズ)」は南砺市城端を舞台モデルとし、放送15周年を迎えた。シンポジウムでは同アニメについて「北陸特有の空模様や風土が描かれている」との指摘が出され、北海道出身の大石氏は「北海道のさらさらな雪と異なる重たい雪の質感が表現されており、水蒸気が多い北陸の雰囲気が良く出ている」と話した。

 「true tears」がきっかけで城端に移住した佐古田氏は、北陸の地域性を反映しながら高校生の青春群像を描写した同アニメの独自性について「地方の人間関係を含めて描いた作品は他にない」と強調し、ファンの心をつかんだ背景を分析した。

 相馬氏は「まちおこし」を描いたアニメ「サクラクエスト」に関連し、アニメと地域振興の関係について語った。制作に当たり、各地の地域振興策を制作陣で取材したことを紹介。アニメは地域の魅力を伝える「きっかけ」になるとした上で、アニメを地域振興につなげるには「実際に暮らしている人々が最終的に自走することが必要だ」と強調した。

  ●桜クリエで記念展

 桜クリエでは12月4日まで「true tears」の放送15周年記念展(富山新聞社主催)が開かれている。

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