子犬の咳が止まらない…犬伝染性気管支炎「ケンネルコフ」かも うつる?治る?病院行くタイミングは【ペットドクター相談室】

★生後2ヶ月の子犬を引き取ってから3日目で夜寝れないほど咳が止まらなくなってしまった。食欲も遊ぶ力もあるが、下痢もしている。原因がわからず、つらそうに咳をしているのを見ていることしかできない。どうしたら良いのか(マルチーズ、まめたさんの相談)★生後約4ヶ月のチワワをペットショップから飼い始めて4日目なのですが、1日目くらいから暇があれば後ろ足あたりの毛をよくむしってその毛を食べており、しばらくするとカハッと数回咳き込んでいます。便にも毛は混じっていますが、毎日咳をする様子から気道や胃に詰まっているのではないかと不安です。食欲も元気もあります。水も飲みます。便の硬さは普通で1日2、3回です。動物病院に連れて診てもらったほうが良いでしょうか。(チワワ、はたけやまさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 とくだ動物病院(福井県福井市)徳田雅史院長

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 ペットショップや保護施設など多頭飼育している環境下から仔犬を迎え入れた後に発咳の症状が認められる場合は、犬伝染性気管支炎(ケンネルコフ)に罹患している可能性があります。

犬伝染性気管支炎「ケンネルコフ」とは

 犬伝染性気管支炎とは、発咳を主徴とする急性の上部呼吸器感染症です。感染動物からの飛沫や直接接触により伝播します。1歳未満の若い犬での発生が多く、その原因病原体としては、犬パラインフルエンザ、犬アデノウイルス2型が知られており、最近ではその他の複数の病原体が関与するとも言われています。こういった理由から犬パラインフルエンザ、犬アデノウイルス2型は混合ワクチンにも含まれていますが、未だに遭遇することの多い感染症となっています。

潜伏期間は3~10日…数日後に咳が出始めたら注意

 病原体の潜伏期間は3~10日ですので、仔犬を迎え入れた時に咳をしていなくても、数日後に咳が認められ始めたら注意が必要です。症状としては乾いた咳が一般的ですが、声帯の炎症により鳴き声がかすれたり、鼻水、くしゃみ、発熱が認められることもあります。

 自然治癒する場合もありますが、細菌の二次感染により、悪化すると乾いた咳から湿った咳に変わり、膿性の鼻汁や眼脂を伴い、食欲減退、活動性の低下、呼吸困難などの症状へ移行する場合もあります。

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ケンネルコフの治療法は?人や他の犬にうつる?

 治療は抗菌薬、気管支拡張薬、鎮咳薬などを用いて行えますので、仔犬を迎え入れて咳の症状が認めらたら、経過観察をせずに、動物病院へ受診するようにしてください。適切に治療されると、多くの場合、予後は良好ですが、症状が数週間継続することもあります。

 ケンネルコフを発症した仔犬から人間に感染することはありませんが、犬同士では感染力の強い感染症ですので、先住犬のいる家庭では、先住犬と症状が出ている仔犬との接触は、治療が行われ回復するまで避けるようにしてください。

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