【ASEAN】フィンテックの投資額、東南アジアで7割減[経済]

東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国でフィンテック(ITを活用した金融サービス)企業への投資額が、今年1~9月期に13億米ドル(約1,940億円)となり前年同期から7割減少したことが、シンガポール金融大手UOB銀行などが発表したリポートで明らかになった。投資家心理の弱含みが背景にあるという。

UOB銀と大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、シンガポール・フィンテック協会(SFA)は、ASEANのフィンテック業界動向のリポート「ASEANのフィンテック2023」をまとめた。ASEAN6カ国はシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンだ。

リポートによると、今年1~9月期のフィンテック企業への投資額で、世界全体に占めるASEANの割合は前年同期から2ポイント低下の3%となった。2020年以来、最も低い水準となっている。

ASEANでの投資件数は94件と約半減。1件当たりの平均投資額は2,330万米ドルから1,350万米ドルに減少した。

投資減少の背景には、投資家心理が下向きになっていることがある。域内ではポストコロナの反動の中で一時、フィンテック企業への投資が急拡大したが、22年7~9月期以降は不安定な市場と不透明なマクロ経済環境の見通しにより、投資家が出資を控える動きが広がっている。

国別の投資額ではシンガポールが最も多く7億4,700万米ドルとなり、全体の約6割を占めた。

ASEANで出資を受けたフィンテック企業を成長ステージ別にみると、アーリーステージ(創業初期)の企業が最も多く、投資額全体に占める割合は約半数に上った。前年同期は39%だった。

業種別ではグリーンテック(環境技術)関連の企業への投資が目立った。今年1~9月期の投資額は1億6,900万米ドル。過去5年で増加傾向にある。

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