茨城県内でただ一つの公立夜間学級「常総市立水海道中夜間学級」(同市小山戸町)。2023年度で開校4年目となった同学級は、25人のうち外国籍の生徒が8割の20人を占める。基礎学力を付けて進学を希望するケースも多く、将来日本で活躍したい外国人の学びの場として勉学に励んでいる。
夜間学級は2020年4月に開校。昼間の中学と同じ教科書を使い、国語や数学など5教科のほか、美術や音楽といった技能教科も学ぶ。生徒は同市のほか、坂東市、つくば市、つくばみらい市など同県の南西地域から通学している。
開校当時から外国籍の生徒が多く、国籍別で最も多いのは11人が在籍するパキスタン。アフガニスタンやフィリピン、ブラジル、中国など9カ国から生徒が集まる。
多数の外国人生徒が通う背景には、常総市の人口の約1割が外国人であることや、坂東市など近隣自治体に中東系の外国人労働者が多いことなどがあるとみられる。夜間学級(夜間中学)では全国的にも外国人が多く、在籍者の約7割を占めるという。
年齢層は10代が16人、20代が6人、30代が3人。高校進学を目標に学ぶ生徒が多い。授業は日本語で行われるが、習熟度に応じてクラスを分けたり、板書にルビを振るなどの日本語支援も実施している。
坂東市に住むパキスタン国籍のビラル・ハズラットさん(19)は日本で教育を受けさせたいという父親の希望で3年前に来日。母国でも中等学校を卒業しているが、夜間学級に入学した。
当初は日本語がわずかしか話せず、学校に通うことに不安を抱いていた。だが、「先生たちが優しく授業してくれてどんどん安心することができた」と振り返る。
入学して3年がたち、日本語も上達。数学の授業では立方体の相似、美術では日本の漫画について熱心に勉強する。「授業は全部面白い。一番好きなのは数学で、2番目は理科と日本語」
高校進学を希望し、外国人特例選抜を利用して受験する予定だ。授業が始まる前の午後4時には登校し、受験勉強に励んでいる。
進学のほか、別の目標もある。オンラインショップを運営する会社を立ち上げることだ。夜間学級で学ぶとともに、会社設立に向けた勉強にも取り組む。「高校に行ったら会社をつくって勉強と一緒に仕事をしていきたい」と意欲を見せる。夢の実現に向け、「今は一生懸命勉強して、来年の試験に合格したい」と意気込んだ。