【特集】G7広島サミットから半年 経済波及効果は?

「G7広島サミット」の開催から半年が経ちました。広島県は、サミット後の経済波及効果を、1600億円以上と推計しています。果たして追い風は吹いているのか。取材しました。

■金丸真帆記者リポート

「G7広島サミットが開催されたグランドプリンスホテル広島です。開催から半年たちましたが、ホテルの色々なところにG7サミットのロゴを見つけることができます。」

広島市南区のこのホテル。サミット開催当時の装飾などを残しながら、今はクリスマスの装いです。

首脳たちが写真に収まった瀬戸内を背景にしたこの絶景スポットは、看板はそのままに、記念撮影することが出来ます。

世界情勢について議論を交わした円卓は、ホテル1階のカフェに移動…。しかし、ここにも観光客が次々と訪れています。

■大阪からの観光客

「慰霊碑に7か国の首相が行ったのも歴史的なこと。感情がこみ上げてきたのでここも来ておこうということになって」

■スペインからの観光客

「(ここでサミットがあったことは)知らなかったです。友人が連れてきてくれてホテルを見せてくれて驚きました。広島は世界のとても重要な場所です」

ホテルによると、サミット閉幕後、国の内外を問わず「個人客」が増加…。宿泊部門の売り上げが伸びたと言います。

■グランドプリンスホテル広島 平瀬春男総支配人

「10月、11月とコロナ前の110%くらい。コロナ前の水準を今超えている状況です」

そして、昼食と晩餐、それぞれで提供したメニューを再現したコースの予約は、想定の3倍以上…。

今も続くサミットの余韻を、地元で聞きました。

■元宇品の住民

「電気が(コロナ禍は)まばらだったのがいっぱい満室になっていて観光客が来られているのかなと感動しています」

■元宇品町内会 門隆興会長

「訪ねてきていただけるのは本当にありがたい。G7もいいところを選んでもらいました」

サミット効果は、街なかのフランス料理店にも…。

オーナーシェフの勇崎元浩さんは、各国首脳の配偶者に料理をふるまいました。

その後、女性客が増えたと言います。

そして8月には、フランス政府から食文化普及への貢献を称える「勲章」を受章…。今月も、厚生労働省が選ぶ「現代の名工」として、卓越したその腕前を顕彰されました。

■ル・トリスケル オーナーシェフ 勇崎元浩さん

「(現代の名工の表彰は)組織の総料理長がもらう形が多いので、町場のぼくみたいな小さな店でもこつこつやっていればいただけるんじゃないか。少しうれしいです」

首脳たちが最初に訪れた原爆資料館も、賑わいを見せています。

2023年度の入館者は、10月時点で130万人近くに達し、2022年から倍増しました。目立つのは外国人で、「コロナ禍」前より、4万人上回っています。

資料館へこの日、韓国人大学生ら29人が訪れていました。日本と韓国の若者が互いの国を訪ねる催しで、2023年は広島が訪問先に選ばれました。

■日韓文化交流基金 田原彰人さん

「尹大統領も訪問した広島で平和についてともに学べたらいいなと広島訪問を決めました」

G7サミットに招待国として加わった尹大統領の広島訪問は、韓国の現職大統領としては初…。

岸田総理と「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」に参拝し、被爆者とも面会しました。

学生たちもその道筋をたどり、慰霊碑に参拝…。在日韓国人で被爆者の朴南珠さんの証言に、耳を傾けました。

■大学生インタビュー

「本当にこれは私たちが想像できる範囲を超えて、本当に恐ろしいことが起きたと思いました」

「広島にある資料館を直接訪問できたので、原爆というものが人々にどのようなひどい被害を与えたのか肌で感じることができました」

世界各国が注目した「G7サミット」は、広島に、「コロナ禍」前の活気をもたらすのに、少なからず貢献していました。

県が推計した今後5年間の観光客増加に伴う経済波及効果は。およそ1650億円に達します。

【2023年11月20日】

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