大雨対応、市民が検証 茨城・日立市に提言へ初会合

日立市の市民懇話会であいさつする小川春樹市長=同市役所

茨城県日立市は20日、9月の台風13号に伴う大雨での災害対応の検証や防災力強化を話し合う市民懇話会の初会合を開いた。学識経験者や市民代表らが情報伝達や避難の在り方などソフト対策を議論し、市に提言する。

会合は市役所で開かれ、小川春樹市長は「頻発化、激甚化する災害を踏まえた安全安心のまちについて意見を頂きたい」とあいさつ。今回の災害対応などを市側が説明した。

委員の一人は防災行政無線について「屋外スピーカーは雨で聞き取れず、戸別受信機は電源を入れないと聞こえない」と述べ、あらゆる手段で情報発信することを求めた。

自力避難が難しい要支援者については「誰が誘導するのか明確ではなかった」との意見があり、市側は2025年度までに個別避難計画を作成する方針を示した。今回、ハザードマップに示されていない場所でも浸水しており、委員からは「どこが浸水したのか情報を残せば、教訓になる」と提案があった。

委員は自治組織や民生委員、医療福祉、産業、消防関係者など22人。座長に茨城大の信岡尚道教授、副座長に茨城キリスト教大の中島美那子教授を選出した。信岡教授は「行政の考えを市民にどう伝えていくかがポイント。市民の輪を強くして災害を乗り越えていく点もクリアにしたい」と語った。

懇話会は24年1月までに3回開き、避難情報の伝達や避難所の運営、行政と地域の連携方法の改善策などを市に提言する。市は本年度中に策定する復旧基本計画に反映させる。

日立市では9月8日、線状降水帯の発生により、1時間雨量が観測史上最大の97ミリを記録。河川の氾濫や土砂崩れなどが相次ぎ、1人が死亡、計420棟の住宅の浸水被害があった。

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