「男性が意思決定を占有」上智大・三浦まり教授が講演 取り残される日本に警鐘

しもつけ21フォーラムで講演する三浦氏=20日午後、宇都宮市大通り2丁目

 下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の11月例会が20日、宇都宮市内で開かれ、ジェンダーと政治が専門の上智大法学部の三浦(みうら)まり教授が「女性リーダーが社会を変える~都道府県版ジェンダーギャップ指数から見る日本の課題~」と題して講演した。

 世界経済フォーラム(WEF)が6月に発表した男女格差を示す「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は146カ国中125位と過去最低を更新。世界の潮流から取り残された要因として、三浦氏は政治と経済分野の女性参画の少なさを指摘した。

 第2次岸田再改造内閣は女性閣僚を過去最多に並ぶ5人起用したが、「瞬間風速的に指数が上がっても維持は難しい」とし、女性比率を割り当てるクオータ制の導入など選挙制度改革の必要性を訴えた。

 ジェンダー・ギャップ指数が示す問題の本質は「男性が意思決定と権力を占有していること」と述べ、女性が抱える困難が見えにくくなっていることなどさまざまな弊害を挙げた。「女性の参画を切り口に、多様な人が意思決定に参画できる社会をつくれるかどうかが重要だ」と訴えた。

 三浦氏らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が試算した都道府県別ジェンダー・ギャップ指数での本県の現状にも言及。格差が大きい経済分野について「製造業が強く男性が働きやすい一方、女性にとっては良好な職場が限られる。学歴やスキルに見合う経済、職場づくりが課題だ」とした。

 三浦氏は東京都出身。東京大社会科学研究所の研究機関研究員などを経て2010年から現職。

© 株式会社下野新聞社