海上幕僚長「必要な態勢を構築」 北朝鮮「人工衛星」発射予告を受け

記者会見で、北朝鮮の衛星発射予告への受け止めを述べる酒井良海上幕僚長=21日午後、防衛省

 【東京】海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は21日午後の定例記者会見で、北朝鮮による人工衛星発射予告を受け、日本の領域内に落下物などがある場合に備えて「すでに必要な態勢を構築している」と述べた。米国や韓国などとも連携し、「あらゆる事態に対応できるよう情報収集や警戒監視に全力を挙げる」と強調した。

 北朝鮮は21日、「人工衛星」を22日午前0時から12月1日午前0時の間に発射すると海上保安庁に通報した。

 海保によると、北朝鮮は海上に危険区域を3カ所設けると連絡。朝鮮半島西側の黄海と東シナ海、フィリピン東部の太平洋の海域で、いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)の外側という。

 発射に備える防衛相の「破壊措置命令」は継続中で、沖縄県内では那覇や宮古、石垣、与那国に空自のPAC3(地対空誘導弾パトリオット)が、東シナ海には海自のイージス艦が展開している。

 酒井氏は会見で、弾道ミサイル技術を使用した衛星発射は「国連安保理決議に違反し、わが国のみならず地域の安全保障にも重大な影響を及ぼす挑発行為だ」との認識を示した。

 「すでに所要の海域や地域に、海自のイージス艦や空自のPAC3を配備している」と説明し、「国民の生命と安全を断固として守り抜く」と述べた。

 北朝鮮は今年5月と8月に軍事偵察衛星を発射し、いずれも失敗した。

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