障害者の視点から西陣空襲描く 京都・城陽で朗読劇

西陣空襲を題材にした朗読劇を披露する「スピークル」のメンバー(城陽市富野・南部コミュニティセンター)

 戦争や平和を考えるための朗読会が、このほど京都府城陽市富野の南部コミュニティセンターで開かれた。太平洋戦争末期に京都市であった西陣空襲などの被害を障害者の視点から描く朗読劇の公演があり、訪れた約70人が聞き入った。

 同センターの企画で、城陽を拠点に活動する朗読の会「スピークル」のメンバー6人が舞台に立った。「京都であった戦争は、知っているようで知られていない」と、西陣空襲や建物疎開の史実を基にした朗読劇「戦火の杖(つえ)音」を選んだ。

 劇では、視覚障害者の女性が周囲から「役立たず」の烙印(らくいん)を押される中で、葛藤を抱えながら生きる様子が演じられた。空襲直後の場面では「誰か、誰か、うちの子が」「お父ちゃんどこや」とあちこちから悲痛な声が響く表現もあった。

 沖縄の女児が自作し、昨年の戦没者追悼式で読まれた詩「こわいをしって、へいわがわかった」の朗読もあった。観客は静かに耳を傾け、自身の家族の経験などに照らして涙を浮かべる人もいた。

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