道の駅に隣接する旧小学校グラウンドにホテル建設 福井県大野市、中部縦貫道の県内全通控え

ホテル建設が決まった旧蕨生小学校グラウンド。右奥が道の駅「越前おおの荒島の郷」。左は旧蕨生小校舎=11月21日、福井県大野市蕨生

 福井県大野市は11月21日、道の駅「越前おおの荒島の郷」(同市蕨生)に隣接する旧蕨生小学校のグラウンドに、収容人数約160人の3階建てのホテルの建設が決まったと発表した。市は2026年春の中部縦貫自動車道県内全線開通を控え、観光客向けの宿泊機能の拡充を目指しており、年内に土地の賃貸借契約を結び、来年春から夏ごろに着工する見通し。

 同日の定例会見で石山志保市長が明らかにした。市などによると、ホテルは積水ハウス(本社大阪府大阪市)や金融機関などが出資する特別目的会社の「合同会社ニューツーリズム・トリップベース3号」(本社東京)が建設する。積水ハウスは、米ホテルチェーン大手「マリオット・インターナショナル」とともに同様の特別目的会社に出資し、全国14道府県の道の駅近くにホテルを建設。道の駅を起点にした観光による地域経済活性化事業「Trip Base(トリップベース) 道の駅プロジェクト」を展開しており、県内初進出となる。

 旧蕨生小では、グラウンドの3分の2に当たる5094平方メートルに地上3階建てのホテルを建設する計画で、客室は約80室を予定している。予定地は同自動車道の荒島インターチェンジに近接。市産業政策課によると、県内唯一の日本百名山の荒島岳や経ケ岳を望める景観の良さから建設場所を選定したとしている。

 大野市内で市外事業者がホテルを開業するのは初めて。市内の宿泊施設の客室数は現在約200室で、ゴールデンウイーク(GW)など行楽シーズンは満室の時期もあり、石山市長は「市内の宿泊者数増加や消費拡大のためまたとない機会」と述べた。

 ホテル建設で、星空観光の誘客や市富田産業団地への企業誘致がしやすくなることが見込まれ、市の担当者は「市内事業者と連携し経済効果を上げる取り組みを進めていく」としている。市は本年度一般会計12月補正予算案に同校グラウンドの遊具の撤去費用313万円を計上し、27日開会の定例市議会に提案する。

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