超小型衛星を高機能化 茨城県産業技術センター 通信大容量、長寿命に

超小型人工衛星の高機能化に関わった県内関係者ら=県庁

茨城県産業技術イノベーションセンターは21日、超小型人工衛星の高機能化に関する開発成果を発表した。県内企業などとの連携で通信の大容量化と、運用の長寿命化に成功した。実用化されれば、小さな衛星で今以上に詳細な情報のやりとりが可能になり、各観測の性能向上などに貢献できる。実用化に向けた商談につなげるため、展示会などで技術をアピールしていく。

今回の開発では、同じ大きさの人工衛星と比べ約4倍の通信容量を実現した。加えて宇宙での運用期間は通常1年のところ、2年に延ばすことに成功した。

大容量化のためのアンテナとリアクションホイール(姿勢制御装置)、長寿命化のために速度を一定に保つ推進装置などの製作に取り組み、縦10センチ、横10センチ、高さ30センチの立方体の箱に収めた。

県内企業が宇宙ビジネスに参入するのに当たり、打ち上げコストの安い超小型の人工衛星に着目。2019年度から約3年間、大型の人工衛星に比べ通信容量が小さく、宇宙での活動期間が短いという弱点を克服する技術開発に努めた。大容量化により、高速道路の渋滞や船の監視など一層詳細な位置情報の提供にも役立つ。吉冨耕治センター長は「きめ細かなデータが欲しい企業や個人にメリットがある」と話す。

協力した地元企業は、リアクションホイールと推進装置に携わるスターエンジニアリング(日立市)、機器を収める外箱部分を担当した菊池精機(那珂市)など。

同センターは今後、成果を県内外の宇宙ビジネス関係者へ情報発信し、商談に結び付けたい意向だ。

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