金沢・平和町で住宅火災1遺体 家人の高齢女性か 未明、密集地の長屋

消火活動に当たる消防隊員=22日午前3時半

 22日午前2時53分ごろ、金沢市平和町3丁目の木造2階建ての長屋住宅から出火、建物全体を焼き、約2時間後に消し止めた。焼け跡から1人の遺体が見つかり、金沢中署と市消防局は連絡が取れていない家人の高齢女性とみて、身元の特定を急ぐ。現場は住宅密集地にある長屋で、火が燃え広がる恐れがあり、心配そうに消火活動を見守る住民らで一時騒然とした。

 同署と市消防局は22日午前9時半から実況見分を行い、火元や出火原因について詳しく調べている。

 市消防局によると、長屋は3戸続きで、遺体は燃え方が最も激しかった中央の世帯から見つかった。ほかにけが人はいなかったが、長屋の回りの住宅にも延焼した可能性があるという。近くに住み、炎に気付いた50代男性が119番通報した。

 通報した男性は「『ドスン』という音で目が覚めた。自分の家はガラスが割れて雨どいが溶け、電気も一部通らなくなった」と話した。男性は付近住民と協力しながら、長屋から5メートルほどの距離で消火器による消火作業に当たったとし「無我夢中だったが、長屋のガラスが割れてからは熱気がすごく、火はどんどん大きくなった」と声を震わせた。

 付近に住む70代女性は「音に気付いて外に出たら、煙が立ちこめていた」と振り返り、別の女性は「この辺りは住宅が密集していて、燃え広がらないか心配だった」と不安そうに話した。

 現場は金沢市立病院に近接する住宅密集地。入り組んだ細い脇道が多く、消防隊員らが消防車からホースを中継しながら消火活動に当たった。

 市消防局は、秋は空気が乾燥しやすく、暖房器具の利用が増えることから、火災に注意するよう呼び掛けている。

  ●金沢の火災死者6人

 金沢市内では今年、22日正午時点で、同日の平和町を含めて火災が72件(前年同期57件)発生しており、負傷者は16人(同11人)、死者は6人(同4人)となっている。

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