LRT開業で人流最大3.5倍 宇都宮駅前活性化、渋滞は発生せず ジオテクノロジーズ(東京)が人流データなど分析

LRT開業後の人流分布図

 情報通信業のジオテクノロジーズ(東京都文京区)は22日、次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線開業前後を比較した人流調査の結果を公表した。沿線の滞在人口は、休日の宇都宮駅東口で開業前の最大3.5倍になった一方、並行する幹線道路で渋滞はみられなかった。ジオテクノロジーズは、LRT開業の影響について「街の活性化は明らかで、観光振興にも役立っている。自動車通行に与える悪影響は少ない」と分析している。

 ジオテクノロジーズは、自動運転にも活用する高度3次元データ地図などを扱っている。保有する人流データと道路ネットワークデータを基に、JR宇都宮駅周辺や終点までの一部エリアで開業前後を比較した。

 具体的な調査期間は、開業前が7月22〜29日、開業後が8月26〜9月2日の各8日間。期間内の土日祝日の正午から午後5時を比較すると、宇都宮駅東口の滞在人口は開業後に最大250%増加していた。また宇都宮大学陽東キャンパス停留場に近接するベルモールも最大120%増加した。

 沿線から徒歩20分圏内の人流も活発になった。宇都宮市平出町などで土日祝日の滞在人口を調べると、開業後は開業前の2〜40倍に増えた。

 ジオテクノロジーズは、LRTと並行する国道123号など幹線道路4地点の自動車通行量も調査。土日祝日の正午から午後5時に、それぞれ7〜14%増えた。一方、沿線の複数地点では、開業前後で自動車の移動速度に変化は見られなかったため「渋滞につながっていないことが分かる」と結論づけている。

 

 

並行する幹線道路の通行量
開業前後の旅行速度比較

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