富山県射水市大島地域に大型店集積 商業エリア「アイタウン」始動

増設した2台を含めレジ20台が並ぶ店内=大阪屋ショップ射水店

 富山県射水市役所本庁舎近くに新しい商業エリア「アイタウン」が誕生した。今月14日の食品スーパー「大阪屋ショップ」に続き、家電や家具など大型店が相次いでオープン予定。近くの「イータウン」には競合店があり、大島地域の1キロ圏内が一大商業地になる。物価高が続く中、市民は選択肢が増えることを歓迎する一方、渋滞や過当競争に陥ることに懸念もある。

 アイタウンは国道472号西側に位置し、本開発、新開発両地区を中心とした約13ヘクタール。国道東側にある「イータウン」の約1.5倍の広さだ。敷地のうち商業施設用地は約7.5ヘクタールで、大型店のほか中小規模の小売・飲食店舗が開業する。

集客力アップ

 先陣を切ってオープンした大阪屋ショップ射水店。売り場は約2800平方メートルと同社最大規模で、陳列や品ぞろえなど「フォーマット」を約10年ぶりにリニューアルした1号店だ。まとめ買い対応や、生鮮や総菜の商品開発を強化した。

 初日からにぎわい、特に土日曜は混雑を極めた。約千台分の駐車場がほぼ満車となり、常設レジ18台に2台を追加。1週間のレジ通過客数は6万人を超えた。毎日利用する市内の20代女性会社員は「安価と商品の豊富さが魅力。通路が広く混雑は気にならない」と話す。尾崎弘明社長は隣接店オープンを見据え「商業ゾーンとしての集客力がより高まる」とみている。

 射水市に本社を置く食品スーパー「アルビス」はイータウンに大島店を持つ。今月10日に売り場を改装オープン。冷凍食品、総菜、精肉の売り場を広げ、惣菜調理を間近で見られる「ライブキッチン」を設けた。石田康洋常務執行役員は「取り巻く環境が変わってもこれまで通りニーズに対応していく」と強調する。

渋滞に懸念

 家電量販店「ケーズデンキ射水店」は今月30日にオープンする。出店済みの富山、高岡両市間の空白地帯が埋まることになり、特定地域に集中出店する「ドミナント戦略」を進める上で大きな意味を持つ。

 イータウンにはヤマダデンキの「テックランド射水店」、両店の中央に「ジョーシン射水店」が立地する。県内でケーズデンキを展開する北越ケーズ(新潟市)の野村弘社長は「一帯で家電を買おうという客が増える」と相乗効果を狙う。ジョーシンも来店客増を見込み、価格面に加えて商品展開の差別化を打ち出す。

 アイタウンには12月以降、ディスカウント店「ドン・キホーテ」、家具・日用品販売「ニトリ」がオープンする。射水市商工企業立地課は「近隣自治体からの買い物客が増え、さらに観光につながれば」と期待。近くに住む60代男性はにぎわいを喜びつつ「全てオープンしたら常に渋滞するのでは」と心配する。

 県不動産鑑定士協会の服部恵子会長は商業施設の集積が「さらなる出店を呼び込むかもしれない」と指摘。ただ商圏が広域にならない場合「周辺の商店街を含め限られた客を取り合う形になる」との見方を示した。

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