休日部活 長崎市教委が方向性を、2027年度までに地域クラブへ移行へ 保護者負担、責任所在に課題

 長崎市教委は部活動の地域移行の方向性を定めた。休日については2027年度までに、民間団体や保護者組織などが運営する「地域クラブ」への完全移行を目指す。地域クラブ活動指針(仮称)を本年度中に定め、活動時間や休養日などを保護者会や指導者らに説明するが、保護者の負担増加や責任の所在が分かりにくいといった課題が浮上している。

■少子化で不足
 国は教員の負担軽減などを目的に、休日の部活を学校教育から切り離して地域に移行する考え。市内では現在、全市立中36校で約6千人が部活に加入しているが、少子化に伴う部員不足などで活動が難しい学校も出てきている。
 市教委によると、地域クラブはスポーツ・文化団体や民間クラブ、保護者組織などが運営することになるが、どのような運営形態にするかは部活ごとに保護者会で選択。一方で部員不足などにより単独での部活が難しい場合、当面は地域内の複数校が一緒に活動する「合同部活動」や、在籍する学校に希望の部活がない生徒が拠点校の活動に加わる「拠点校部活動」の形を取り、最終的に地域クラブに移行する。
 保護者組織が運営主体となる場合も、指導者や練習場所の確保に向けた調整を担う必要がある。指導者への謝金や移動費などは受益者(保護者)負担を想定。市は「現在の部活動費から著しく増加しないようにする」とし、困窮世帯への支援は別途検討する。
 休日の部活は、27年度の中総体が終わった後の27年9月までに地域クラブへ完全移行。平日の活動は状況をみて検討するという。

■一律で必要か
 8日の市議会「部活動の地域連携のあり方検討特別委員会」では、委員から保護者の責任や負担の課題を指摘する声が相次いだ。
 休日の地域クラブ活動で発生した事故などの責任について、市教委は「運営主体となる保護者組織などが責任を担う」と説明。委員の一人は、現状でも部活の保護者会への協力が難しい共働き世帯やひとり親世帯があり「簡単に保護者組織が成立するとは思えない」と指摘。市教委は「保護者の入れ替わりや運営ノウハウがない課題などはあり、不安に寄り添って設立をサポートする」とした。ただ将来的に平日も地域移行を進める中で、委員は「さらに保護者の負担や責任が増えないか」と懸念した。
 別の委員は、学校活動から社会活動に移行する中では、スポーツや文化活動の所管課とも連携が必要なことから、市役所内に部活の地域移行に横断的に対応する「支援室」を新たに設けるよう提案。市教委は「初動は市教委で計画を立てるが、新組織は状況を見て考えたい」とした。終了後、ある委員は「県外に『休日の部活は実施しない』と決めた自治体もある。長崎でもそもそも休日の部活が一律で必要なのか、との議論をやるべきではないか」と語った。

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