栃木市都賀町家中（いえなか）の鷲宮神社で23日、例大祭に合わせ、恒例の神事「強卵（ごうらん）式」が執り行われた。
同神社は天日鷲命（あめのひわしのみこと）を祭神とし、境内で鶏肉と卵を食べることが禁じられている。鎌倉幕府2代将軍源頼家（みなもとのよりいえ）が百日ぜきを患った際、母北条政子（ほうじょうまさこ）が鶏肉と卵を断って祈願すると、頼家が回復したという話が伝わる。
強卵式はこの故事を知ってもらうため2001年に始まった。まず地元住民らが扮（ふん）した裃（かみしも）姿の頂戴人10人は神の使いの天狗（てんぐ）の指示に従い、一升瓶に入ったお神酒を飲んで心身を清めた。
続いて大皿に盛られた卵が運ばれ、天狗が「ありがたい卵じゃ。全て食べよ」と強要した。頂戴人は拒否し、代表の大川秀子（おおかわひでこ）市長が「神社のいわれに倣い、決して口にはしません。神前へお供えします」と断ると、天狗は「良き心がけじゃ」と満足して去った。
今年から小学生も頂戴人に参加した。家中小4年中田希緒（なかたきお）君（10）は「甘酒を飲むのが大変だったけど、卵の儀式は面白かった」と笑顔で話していた。
