鹿肉でアスリート支援 小矢部出身・石畠さん (砺波高ラグビー部OB)

トップアスリートに鹿肉を提供するサポートを始めた石畠さん=長野県上田市(石畠さん提供)

  ●長野・菅平にジビエ処理場 
  ●ラグビー7人制・林選手に毎月2キロ

 小矢部市出身で砺波高ラグビー部OBの石畠吉一さん(48)は23日までに、長野県上田市菅平高原で捕って加工した鹿肉をトップアスリートに提供し、サポートする取り組みを始めた。高タンパク低脂質の鹿肉はスポーツ選手に適した食材とされており、第一弾として7人制ラグビー男子日本代表の林大成選手(日本協会)に毎月2キロを贈り、パリ五輪でのメダル獲得を後押しする。

 石畠さんは砺波高時代に花園出場を経験し、東京理科大進学後もラグビーを続けた。大学卒業後は広告代理店やIT企業などを経て、社会的な課題解決を支援する会社「そろそろ」を仲間と一緒に東京で立ち上げた。

 2016年に上田市に移住し、東京と行き来する2拠点生活を送っていたところ、菅平に多く生息しているシカが農作物を食べる被害が深刻化していることを知った。

 菅平は毎年夏に全国からラグビーやサッカー、陸上部など千チーム以上が訪れる合宿のメッカ。石畠さんも高校、大学時代に合宿に訪れた思い入れがある場所で、何か貢献できないかと考え、22年2月に狩猟免許を取得、クラウドファンディングで集めた資金で菅平にジビエ処理場を建設した。

 駆除したシカの加工を手掛ける傍ら、学生らの体づくりに生かしてもらおうと昨年から合宿に来た選手に鹿肉の提供を始めた。砺波高ラグビー部にも昨年から鹿肉を贈り、今年8月には後輩部員たちがバーベキューで味わったという。

 選手に好評だったことから、菅平を利用したことがあるトップアスリートにもエールを送りたいと鹿肉によるサポートを企画した。

 手始めに、20年から毎年菅平で合宿し、砺波高生を指導した経験もある林選手に提供することを決めた。今月から林選手に鹿肉を届けており、現役を引退するまで支援を続ける方針だ。

 石畠さんは今後もより多くの選手を鹿肉でサポートしていきたいと考えている。「鹿肉を食べて世界で活躍してほしい」と語り、希望者からの連絡を待っている。

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