LRT軌道との境界明確に 導流帯の白線30センチ幅消す 事故現場にはコーンも設置 県警と宇都宮市など

乗用車の車体の一部が導流帯から軌道内に進入し、LRT車両と接触した事故現場=9月17日、宇都宮市陽東5丁目(画像は一部加工しています)

 栃木県宇都宮市陽東5丁目の県道で9月、次世代型路面電車(LRT)の軌道と隣接する導流帯(ゼブラゾーン)に停車していた乗用車右側のドアミラーに、後方から来たLRTが接触した事故を受け、県警や宇都宮市などは24日までに、再発防止策として導流帯の白線を一部消して軌道との境界を明確にする対策を講じることを決めた。沿線全ての導流帯で実施するが、事故が起きた導流帯は本年度中に整備し、車の進入を防ぐポストコーンも設置する。

 導流帯は停留場や交差点付近の車道内にあり、右折レーンなどを知らせて通行を円滑にする目的で白線で示されているが車の進入は推奨されない。一方、軌道と車道の境界を示す白線は軌道内に引かれている。

 導流帯での接触事故は9月17日に発生した。乗用車は右折待ちの車列がつながっていたため、右折レーン手前の導流帯に入り軌道側に車を寄せて停車していた。このためミラー部分が軌道上に入り、後方から来たLRTの先頭車両左側と接触した。

 事故を受け、宇都宮市や県、県警は現場を点検するなどして再発防止策を検討。現状は軌道と車道の境界を示す幅約60センチの白線と、導流帯の白線はつながって引かれている。境界を示す白線が車道の一部と誤認される可能性があるため、導流帯の白線のうち境界の白線に接する部分を幅30センチにわたり消すことにした。

 LRTは宇都宮駅東口と芳賀町間の14.6キロを結ぶ。うち東進、西進車道に導流帯は合わせて約7キロ分あり、工事は来年から順次進める。事故があった約120メートルの導流帯は先行して着工し、円筒状のポストコーンも8メートル間隔で設置する。

 LRTを巡っては8月26日の開業以来、乗用車などが軌道に進入してLRTと接触するなどの事故が計4件発生。市は現場に車両の進入禁止を呼びかける看板を設置するなどの対策を講じている。

 県警交通企画課は「車で軌道に入るのは極めて危険な行為で、近くに停車する場合には十分に距離を取ることが重要。車とLRTの共存のため交通ルールを守ってほしい」としている。

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