新スタジアムに「めちゃくちゃワクワク」サッカー日本代表・森保一監督が語る「エディオンスタジアムは人生の宝」選手監督時代振り返り「サッカーで広島から世界に平和を」【インタビュー詳細】

26日、サッカー日本代表・森保一監督が広島市でインタビューに応じ、25日にサンフレッチェ広島の本拠地としては幕をおろした「エディオンスタジアム」(広島市安佐南区)と来年2月に開業する新サッカースタジアム「エディオン ピースウイング広島」(同・中区)への思いを語った。

ー自身もチームの選手としてエディオンスタジアム(旧・広島ビッグアーチ)で活躍し、チームの監督としても3度のJ1制覇を果たした
(サッカー日本代表・森保一監督)
エディオンスタジアムで30年以上Jリーグを開催して、Jだけではなくて、いろんな大会で試合をして、たくさんの思い出が詰まっているエディスタが最後なんだなって、すこしさみしくなるような気持ち。新スタができて、そこでまたサンフレの夢を乗せて、選手たちが躍動してくれるんだろうなっていう過去と今と未来を考えた。
エディスタの試合を見ていて、新しいスタジアムへ夢がつながっていくのは素晴らしいが、その前に、エディスタでサッカーや、いろんなスポーツの開催に従事してくれた地域の人たちに感謝して、エディスタも本当に頑張ってくれたと思うので、「ありがとう」という気持ちできのう試合を見ました。

ークラブOBとしては
OBとして、1992年のアジアカップから、エディスタを使わせていただいて、そこでたくさんの歴史を刻ましていただき、人生の宝となる思い出がたくさんできた。

ーホーム最終戦(25日)は雰囲気も含めてどう試合を見た
サンフレにとっては最高の試合になったと思う。選手たちのプレーがやはり、これまでのエディオンスタジアムで刻まれた歴史を思い、エディオンスタジアムでサンフレッチェの試合をサポートしてくれたボランティア、サポーター、地域住民、全てのみなさんの想いを背負って戦い、躍動しているんだなと感じた。
選手たちがこれまでの感謝をプレーに表していることと、これからの期待と、サッカーの魅力をホーム最終戦は表現していたのかなと。

ー印象に残っているシーンは
すべてのシーンで魂が入ったプレーが見られたと思っている。1点目、2点目が、本当にサンフレッチェの選手の勢いが上回っていた。

ーチームの監督時代の選手も躍動した
私が監督をしていたときに一緒に戦ってくれた選手たちが、いい経験を積んで、また素晴らしい、チームに貢献をみせてくれながら、昨日の試合にチームのために戦うところを見れてうれしかった。
ベテランから中堅へという選手が多いが、非常にクラブのコンセプトが表われている。若いアカデミーユースから育った人がたくさん出てきて、若手ベテランの融合が素晴らしいと思ったし、ユース出身がたくさんでているのは、コンセプトが出ていた。非常に広島らしくていいなと感じた。

ースタジアムの雰囲気は?
最高の雰囲気だったと思います。試合時間のほとんどサポーターが入ってくれていたし、作り出す雰囲気が選手たちの躍動につながった。
やはりサポーターの力は大きい。広島のみなさんのサンフレッチェに対する、支える気持ち、情熱が選手たちにつながった。
選手はどんな状況でもベストを尽くすのは間違いないが、サポーターの声援が大きければ大きいほど、パワーを増すのは間違いないので、3万人弱が駆けつけてくれたことが、きのうのサンフレの選手の躍動感あるプレーにつながったと思っている。
30年以上エディスタで戦ってくれたサポーターへも感謝を申し上げたいし、これからもサポートしていただきたい。

ー森保さんにとってのエディスタは?
想い出はありすぎて、素晴らしい喜びもあれば、悲しい、悔しい思いもある。
すべてが人生の宝といえる思い出にある。
まだ今は現役中なので、もう少し年を取って、サッカーを振り返る時がきたら、エディスタの素晴らしい思い出に浸りたいと思うし、一緒に戦った仲間と思い出を語り合えると思う。
一番の思い出は、プレーヤーとしては、当時のビックアーチで、94年のチャンピオンシップ。悔しい想い出としてあります。(監督として)2012の初優勝は楽しく、クラブとサポーター、広島のみなさんと喜びを分かち合える素晴らしい思い出になったと思う。

ー選手として、どういった想いでプレーしていた
私はプレーをしたJリーグの初期の頃は、アマチュアからプロに変わっていき、その中でまたアマチュアに逆戻りすることがないように、Jリーグというプロの舞台が将来につながっていくように、とにかく必死な思いで応援しくれる方がにつながってもらえるようにプレーした。
声援がこんなに我々の力になるんだなっていうことを感じてプレーしていた。アマチュア時代とくらべると、Jリーグ初期のころは一気にメディアがとりあげてくれるようになって、夢じゃないかと思ったし、これを未来につなげたいと思った。
うれしい思いと、必死に先につなげていこうという思いが同居していた。
ただ、これは残念な思いですが、感覚的には、広島が観客が減り始めたのが、1番早かったと感じた。
一時平均観客数は、4・5千人ぐらいまで減った。このままアマチュアに戻るのかなっていう危機感を持ったのは覚えている。
やはりこれからはサッカーの魅力を知っていただき、サンフレが広島の街に根付いて、愛されるように成長していけるようにとの思いはありました。
ホームタウンを広島にしているクラブとして、広島に関わるみなさんが、少しでも喜んで下さるように努力していかないといけないという思いを持って戦いに挑んでいたことを覚えている。
今、すばらしい時代を築かれて、サッカーサンフレの存在を認知していただき、最終戦に3万人近くのサポーターがきてくれた歴史の積み上げを感じた。
新しいスタジアムでも、まずは良いサッカーを展開して、魅力を伝えてもらいながら、街の潤いや活気に、街の宝になるスタジアムにさらに成長してもらいたい。

ー監督として初優勝の思い出は
最高の思い出ですね。
優勝をさしていただいたその監督、スタッフとしてうれしい喜び。あの場だけで優勝したわけではない。チームの創設から尽力して下さった広島のみなさんであったり、チーム作りに尽力して下さった多くのみなさん、チームの活動に多くの方が熱いサポートをしてくださった。そういう多くの方々の思いが創設から脈々と受け継がれていって優勝につながっていった。
私はマツダサッカークラブからプレーしたが、今西和男さん(当時の総監督)が、育成型・組織的に戦うサッカーをマツダ、サンフレッチェはしていくんだということでチームを形成した。そこが私の原点となって、プレーヤー、監督として貢献したいという思いで仕事をし、それが優勝という形で現れたと思いました。
やはりJリーグで優勝は簡単ではないし、コンセプトを持って戦い続けてやっとたどり着くんだなと思った初優勝だった。
優勝パレードには本当に人は来てくれるのかって思っていたが、多くのみなさん、サンフレのサポーターが全国から駆けつけてくれた。盛大なパレードをして喜びを分かち合えた。
本来であれば応援して下さったみなさんに「ありがとう」というお礼の言葉を伝える場だと思っていたが、いろんな方々から「ありがとう」って声をかけられて・・・「いや我々がありがとうなんです」っていう思い、自分たちがやってきたことがこういう結果につながったという思い、広島をホームタウンにしているプロサッカーチームの存在を考えるきっかけになったし、その思いは、日本代表監督をしているなかでも全く変わらず、地域が「日本」という大きな舞台になったが、我々は地域に貢献すべく活動しなければいけないというのは、サンフレッチェの経験から学んだ。

ークラブOBとしては
Jリーグも頑張っています、広島も育成型として、素晴らしい選手をたくさん育てているので、クラブから代表選手になるより多く排出されることを願っているし、待っています。

ー地域、文化、エディスタが果たした役割は
私自身はサッカーに携わって、サッカーでまずは自分たちがやるべきプレーをピッチ上で見せること、そのクオリティーを少しでも上げるように努力して、地域に貢献していくことを考えて活動した。
もちろん、サッカーの魅力を知ってもらうということをまずは考え、スポーツ全般を地域の文化として少しでも認識してもらえるように、スポーツで日常生活や街が潤うようになればいいなと思っていた。
スポーツが文化、サッカーが文化になるように貢献していければと思っていた。サンフレでは、Jリーグが出来たばかりの頃は、いつ試合をやっているのかすら認知をしてもらえていなかったこともあったが、徐々に試合がいつか、勝った負けた、いま何位というのが、人が集まるコミュニケーションの場での一つの話題になってきた。
2012年のときには、タクシーに乗っても話題になったり、勝ってよかったよねとか伝えられたときに、少しずつ街の中に文化としてサッカーが浸透しているなと感じた。文化として浸透していくお手伝いをしてくれるメディアにも感謝。

ーいよいよ来シーズンから新しいスタジアムが広島に生まれる
めちゃくちゃワクワクしていますね。昨日見たエディオンスタジアムのラストゲーム。サンフレッチェにとって、サポーターにとっていい試合だった。
ああいう試合が、新スタジアムで、さらに臨場感がある所で繰り広げられると思うと楽しみ。
より近くで、選手の息づかいや叫び声、ぶつかる音、ボールを蹴る音を聞いて、感じていただける新スタジアムで、サポーターのみなさんにより熱く応援していただければと思いますし、サポーターのみなさんが出すスタンドからのエネルギーと選手たちが情熱をもってピッチで戦う「熱」がお互いに感じられる空間になればいいなと思っています。

ー新スタジアムは広島の街の中でどんな役割になるか
まずは、街のシンボルの一つとして、街の宝として、広島のみなさんの誇りになるものだと思う。そしてサッカーで一番盛り上がっていただき、サッカーの話題で盛り上げっていだだき、サッカーの魅力を感じていただき、日常の活力、ストレス解消にしていただくなど多くの方々に新スタジアムで素晴らしい思いを持ってもらえたらいいなと思います。
新スタジアムでは、サッカーを見ていただき、魅力をより感じていただいたり、集まってきたサポーターのみなさん、選手と共に、チームと共に素晴らしい空間にエキサイティングな空間になることを本当に願っています。
サッカーの試合だけに使うものではないと思っています。
365日人が集まる、街の宝として稼働するスタジアムが多く建設されている。いろんなイベント、防災であったり、日常に人が集まってきて、サッカーやスポーツを楽しんでもらう、それだけじゃなく文化芸術芸能音楽エンタメいろんなイベントが可能だと思うので、広島の街の方々が集まってきてくださって。
いい触れあいのコミュニティーの場になるとうれしいなと思っている。
また新スタで試合が行われる、新スタを見学にくる方が、広島の歴史にも触れていただけるとうれしいと思います。すぐ近くには平和公園、原爆ドーム、未来に二度と起こしてはいけない戦争の、原爆の歴史があるので、そこを平和ということを学んでいだだき、一人でも多くの方に広島に来て、平和について、尊い命が奪われたことへの思いを伝えていただければと思います。
サッカーは国内だけの試合ではなく、クラブ単位でいうとACL、国際試合がある可能性があると思うので、そうした場合、海外からもサポーターのみなさんが広島の街を訪れることになる。
世界各国にこの広島の歴史を知って下さる、発信して下さることを願っていますし、世界では今も、戦争紛争など尊い人の命が奪われる、日常生活が奪われていることが起こっている中で、国と国、人と人が本当に尊重し合って、価値観を尊重し合ってつながっていけることをこの広島から発信していただければと思っています。
新スタジアムで代表戦を出来ればうれしい。サンフレッチェが平和について考えてもらい、発信する役割を持っていると思うが、日本代表も日本で起こったこと、広島で起ったことを考え、試合をできればと思っている。
選手、クラブスタッフ、チームを支えるサポーター、市民県民、全国にいる広島のみなさんやサンフレサポーターの思いがスタジアム建設につながったと思います。
広島は世界とつながるグローバルな都市。平和都市・広島から世界に平和を発信できるひとつのコンテンツとして考えてもらえたらと思う。

ー新スタジアムの形など見たときに感じたことは
まずは街中にあるスタジアムで、いろんな所から集散しやすい、素晴らしい立地条件。駅から電車で、最寄りの駅からも歩いて行ける。他の公共機関をつかっても、近くから歩いて行けますし、広島のどこからでも実際に気軽に足を運べる立地条件は素晴らしいと思う。
こういうスタジアムが日本全国各地たくさんできるように願っている。
ただ、実はエディオンスタジアムもあんまりアクセスが悪いとは思っていなくて
もっとアクセスが悪いところはたくさん見せてもらったし・・・っていう思いはあります。
エディオンスタジアムに苦労して観戦しに来てくださっていた方々には、これからはより苦労せずに、サッカー観戦に行っていただけることができる、
近くなく人もなれば遠くなる人もいると思うので、近くて通いやすかったって人には遠くなるかもしれないが、引き続き、サンフレやサッカー観戦に来ていただければと思います。

ー監督自身も新スタジアム建設のため欧州を視察した。そのときいいなと思っていたものと比べて実際完成するスタジアムはどうか
超えてますね。新スタジアムに建設に向けて、広島のみなさんやサンフレのみなさん、将来できたらうれしいねと視察にも欧州に行かせてもらって、未来を想像していたのが、こうやって現実になっているのはうれしいですね。
私自身が一緒に行って見たスタジアムより素晴らしいスタジアムができているのでこんなにうれしいことはないし、このスタジアムをサッカー、スポーツの魅力を生かして、街の宝やみんなの潤いになるようにと。めちゃくちゃうれしいです。

ー新スタジアム建設には署名活動もあった。熱い思いをもらった人たちには
私が作ったわけではないですが、署名活動など、いろんな方が我々を応援してくれてるんだなっていうのが、心強い気持ちになって(スタジアム建設に)向かっていこうということを感じた。
スタジアムができたことでみんなの思いが形になったということは共有したいと思う。誰か一人がやったのではなくて、広島のみなさんの多くの思いが新スタジアムになった。形になるかどうかわからないときに署名をして声を上げてくださって、尽力してくださった方々、背中を押してくださった方々に感謝を申し上げたい。

ー広島のみなさんへ新スタジアムについてメッセージを
広島のみなさん、サンフレチェのサポーターのみなさん、新サッカースタジアムがもう少しで稼働することになると思います、エディオンピースウイング広島が宝となり、街の潤いとなり、活気になるようなサッカーが繰り広げられることを期待しています。みなさんが応援してくださることで、より魅力のあるサッカーが展開されることになります。どうか応援よろしくお願いします。

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