温泉誕生の物語絵本に 宇奈月で初披露 100周年記念し新作

開湯100周年記念のオリジナル絵本を初披露するメンバー=黒部市の宇奈月温泉総湯

 黒部市の宇奈月朗読グループは宇奈月温泉開湯100周年を記念した新作オリジナル絵本「無人の台地にお湯が来た! 宇奈月温泉誕生物語」を完成させ、26日に同温泉街で開いた朗読会で初披露した。温泉の父と呼ばれる山田胖(ゆたか)技師(1886~1964)が一大温泉地の礎を築いた経緯を振り返る力作で、今後、学校などでの読み聞かせにも活用する。

 高岡生まれ、金沢育ちの世界的化学者・高峰譲吉博士がアルミニウム製造のため黒部川での電源開発を計画、その現場指揮官に就いたのが山田技師で、1923(大正12)年11月末、7キロ上流の源泉黒薙(くろなぎ)から湯を引くことに成功した。

 絵本は「私は山田胖」との語りから始まり、無人の台地を発電所建設の拠点とし、さらに湯の街として発展させることを決意、湯量や温度の細かな計算に基づく木管敷設を進め、ついには熱い湯がとうとうと流れ出す場面などを描いた。

 絵はグループ代表の上坂次子さん、文は大橋朋子さんが担当した。段ボール紙にポスターカラーで絵を描いた手作りで、山田技師が引湯計画を立てる際のメモや当時の建物、旅館名など、緻密に描き込まれている。

 朗読会は同グループと宇奈月の歴史と文化を楽しむ会が「いい風呂の日」の11月26日に合わせて宇奈月温泉総湯で実施した。地元では開湯を祝う日に位置付けており、メンバーは「100年の節目に地元で披露することができて良かった」と話した。

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