日朝首脳会談実現へ「さまざま働き掛け」と岸田首相 東京で拉致国民大集会

北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」で風化防止を呼び掛ける山谷えり子氏=11月26日午後、東京都千代田区

 北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」が11月26日、東京都内で開かれた。岸田文雄首相は、北朝鮮が軍事偵察衛星を打ち上げるなど状況は厳しいとしつつ、拉致問題は早期解決が必要と強調。首脳会談実現へ向け「さまざまなルートを通じ働きかけを絶えず続けており、一層強める」と述べた。

 拉致被害者家族会代表で、横田めぐみさん=失踪当時(13)=の弟の拓也さん(55)は、岸田首相が今年5月に首脳会談実現へ直轄でハイレベル協議を行うとしたことに触れ、「停滞は許されない」と指摘。「高齢な親世代が存命のうちに帰国できないと解決とは言えない。他界後に帰国しても、なぜ存命中に帰国させなかったと怒りは頂点に達し、国交正常化への賛同もないだろう」と早期解決を強く迫った。

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 めぐみさんの母早紀江さん(87)も「親だから命がけで戦う。私が身代わりになってもいい」と訴え、拉致被害者で2002年に帰国した曽我ひとみさん(64)は、一緒に拉致された母ミヨシさんの健康を懸念し、支援を求めた。

 2部では自民、立憲民主、公明、日本維新の会、国民民主各党の対策本部長があいさつ。自民党の対策本部長で参院拉致問題特別委員長の山谷えり子議員は「決してあきらめず風化させず、国民の熱量を上げていこう」と呼びかけた。

 集会は家族会や支援団体「救う会」などが主催し、与野党の国会議員ら計約800人が参加した。「親世代が存命のうちに一括帰国が実現するなら、わが国が人道支援を行うことに反対しない」とする決議を採択した。

 救う会福井の森本信二会長は集会後、「毎回、これが最後の集会になればと願っている。政府は早紀江さんやひとみさんの思いを強く受け止めてほしい」と訴えた。

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