オルゴールが好き過ぎて自作、展示用サロンまで建てた男性 「本格的な音色」求めて

自宅にオルゴールサロンを開設した清水さん(長岡京市天神4丁目)

 長年温めてきた夢をかなえ、自作のオルゴールを展示するサロン「木創舎(もくそうしゃ)」を自宅に開設した。カタカタとランダムにふたが動くやかん形やコーヒー豆が入ったミル形など、ひらめきを基にした多彩な木のオルゴール約80台が並ぶ。

 清水明さん(74)はオーディオマニアで、洛陽工業高生の頃からアンプを自作した。卒業後はガス分析機器の輸入販売会社に勤める傍ら、京都府長岡京市奥海印寺に工房を設けて趣味の木工を楽しんできた。

 オルゴールとの出合いは25年ほど前。大阪府吹田市でスイス料理を食べ、併設のオルゴールショップに入った。くしの歯が72あるスイス製高級オルゴールの音色を初めて聴いた。「自分で共鳴箱を作れば、もっといい音が鳴らせる」

 洋書を参考にオルゴール作りを始めた。海外出張ではホームセンターに寄って工作機械を見て回った。木の種類や厚み、大きさ、形で微妙に音が変化する楽しさにのめり込んだ。

 寄せ木細工の手のひらサイズから、大きなディスクオルゴールまで、細部までこだわった作品を1年に数台~10台以上製作する。からくりに構想から2年かけた大作、ねじから作った作品もある。7年前からは毎年、各地で個展やオルゴールコンサートを開催するようになった。

 65歳で定年退職後、「オルゴールを好きな人と楽しく話がしたい」と、作品を多くの人に見てもらうサロンを開設しようと考えた。昨年7月、自宅の新築を機に夢を実現させた。

 工房を移す予定の京都市右京区で、友人とともに音楽家や木工作家の拠点作りも進めている。「本格的なオルゴールの音色にびっくりする人が多い。これからもオルゴールの魅力を広めていきたい」とほほ笑む。

 サロンは予約制。

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