灯台の役目をした“クスノキ”  目の前に広がっていた海「あゆち潟」は現在の「あいち」の由来に

名古屋市南区楠町。地名の元になったのでしょうか。見事なクスノキは、高さは約20メートルを誇ります。

樹齢は約1000年と言われているので、平安時代からこの地を見守ってきたのでしょう。

ただ、見守ってきたのは町の暮らしだけではなさそうです。

(南区の歴史に詳しい 野田俊夫さん)
「(クスノキが)高いところにあったので、大きな目標になった。(クスノキは)灯台の役目にうってつけの場所ではないか」

クスノキは灯台の役目。そう、昔はもっと海が近かったのです。
熱田神宮から南は海でした。

海や街道を行き来する旅人から、灯台のように場所を知る目印にされていたのでしょうか。

その海は「あゆち潟」と呼ばれていました。いかにも魚が獲れそうな名前。

クスノキの近くには、それを物語るように「あ・ゆ・ち」の文字があちらこちらに。

ここから見えた「あゆち潟」の景色は、どんなものだったのでしょうか。

ここでの漁業と海運が、尾張の国に富みをもたらしてきました。

そんな大切な「あゆち」がやがて「あいち」と読まれ、今の「あいち」の元になったと言われています。

そんないわれを知ってか知らずか、大きなクスノキは今日も愛知の人々の暮らしを高台から眺めています。

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