京アニ公判で青葉被告、遺族質問に「答えは控える」 遺族は「悲しい」

京アニ事件の公判の閉廷後、自身の被告人質問が打ち切られたことへの憤りを語る寺脇さん(27日午後5時15分、京都市上京区)

 36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の第17回公判が27日、京都地裁であった。遺族による被告人質問が行われたが、青葉被告は弁護人からの要請を理由に「答えは差し控えたい」と述べ、この日の回答を拒んだ。亡き妻の思いを背負って質問に臨んだ遺族は、閉廷後の取材に「気持ちを踏みにじられた。裁判が始まってから、一番つらい一日になった」と声を詰まらせた。

 この日から量刑の重さに関わる情状面の審理が始まり、犠牲になった寺脇(池田)晶子(しょうこ)さん=当時(44)=の夫(51)が被告人質問に立った。謝罪や反省の気持ちの有無を問うつもりだったが、青葉被告から返ってきたのは「(自分は)答えてもいいと思うが、弁護人から言われているので、控える」との言葉。被告は遺族や被害者の意見陳述を聞き終えてから、次回の被告人質問で答える意向を示した。寺脇さんの質問は途中で打ち切られた。

 寺脇さんは閉廷後、「晶子や残された子どもの思いを背負い、質問するつもりだった」と唇をかんだ。裁判の傍聴で心身が疲弊する中、この日に懸ける思いは強かった。青葉被告は検察側の被告人質問には答えていただけに、「遺族は『お客様』扱いだと感じ、傷つけられた。本当に悲しいです」と目を赤くした。再質問の機会があれば、参加したいという。

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