京都で両親殺害の男に判決 疾患を就職内定先に告げた父母に怒り「殺意」

京都地裁

 京都市山科区大宅の民家で2021年10月、夫婦が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた、夫婦の長男で無職の被告(39)の裁判員裁判の判決公判が27日、京都地裁であった。川上宏裁判長は被告に完全責任能力があったと認定し、懲役26年(求刑懲役30年)を言い渡した。

 判決などによると、21年10月31日午後4時ごろ、山科区の自宅で、同区に住む父親の会社員=当時(66)=と、母親=同(61)=の頭をおので殴ったり、ナイフで首と胸を多数回突き刺したりして殺害した。

 これまでの公判で弁護側は、被告が精神疾患の影響で心神喪失か心神耗弱状態だったと主張していた。

 川上裁判長は判決理由で、被告が凶器を準備するなど合理的な行動を取っており、犯行後に逃走していることから違法性を理解していたとして完全責任能力を認定。両親が被告の意向に反して、就職が決まった会社に精神疾患を告げたことで内定が取り消され、怒りを覚えたと指摘し、「犯行は執拗(しつよう)かつ残忍で、強固な殺意に基づき悪質」と非難した。

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