「謎の木柱」は皇室由来 和倉温泉駅、上皇ご夫妻来訪記念昭和のお召し列車到着伝える

新調した石碑を囲んで記念撮影する小田代表(中央)ら関係者。木柱は加賀屋が保管する=七尾市のJR和倉温泉駅

  ●石碑に新調文字くっきり

 1988(昭和63)年7月、皇太子時代の上皇ご夫妻が七尾市和倉温泉を訪れたことを記念してJR和倉温泉駅に立てられた木柱が、石碑に新調された。長年風雨にさらされて朽ち、表記の文字も見えにくくなっており、駅利用者からは「謎の木柱」とされていた。ご夫妻が宿泊した加賀屋がJRと協力してホームに新たに設置、「お召し列車」が到着した歴史を伝える史料として保存していく。

 ご夫妻は、自然公園大会への臨席のため来県し、加賀屋に宿泊した。91年の七尾線電化前で、和倉温泉には大阪と和倉温泉駅を結ぶ特急「雷鳥」がけん引して運転されたディーゼル機関車「ゴールデンエクスプレス」で入った。高さ約1.5メートルの木柱はそれを記念し、加賀屋が設置。「皇太子・同妃両殿下 和倉温泉行啓記念」などと刻まれ、下り線ホームの一角に立てられた。

 来年3月の北陸新幹線敦賀延伸後に関西から和倉温泉への特急の直通便がなくなり、敦賀と金沢で2度の乗り換えが必要となることから、加賀屋で新たな誘客の方策を練る中、35年前に設けた駅の木柱の話題が出たという。

 木柱は経年劣化で一部が崩れて文字も読めなくなり、JR西七尾鉄道部の現役社員も何の木柱か把握していなかったこともあり、高さ約1.2メートルの石碑を新設することにした。

 加賀屋の小田禎彦代表は「和倉温泉は皇室の方々がご宿泊されて全国区になった。記念碑はいわば原点。和倉温泉の歴史を示すものとして後世に残していきたい」と話した。

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