心拍数や走行距離を表示…マラソン用ARグラスの試作機 福井県の眼鏡企業など、軽さ追求し2月完成へ

マラソンランナー向けに開発したARグラスの試作機=11月27日、福井県庁

 眼鏡枠企画販売のボストンクラブ(本社福井県鯖江市三六町1丁目、小松原一身社長)などは11月27日、マラソンランナー向けの拡張現実(AR)グラスの試作機を披露した。全て県内の技術で製作しており、来年3月のフルマラソン大会「ふくい桜マラソン」に完成品を提供する。

 眼鏡フレームと全体デザインはボストンクラブ、機器類は音響機械器具製造のオーディオテクニカフクイ(本社越前市戸谷町、松下和雄社長)と福井県工業技術センターが担当。2022年から開発しており、「さくらグラス」と命名した。

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 心拍数のほか、1キロ当たりと全体の走行時間、走行距離が、レンズ前面に配置したディスプレーを通して見ることができる。従来の腕時計タイプに比べ、フォームを崩さずにペース管理できる利点があるという。

 課題となったのは軽量化。衛星利用測位システム(GPS)計測部を眼鏡本体から分離してリストバンドに搭載したほか、ディスプレーに数値を投映するためのレンズの枚数減にも取り組んだ。左右の機器をつなぐケーブルは、後頭部に回してズレ止めとして活用した。眼鏡部分は機器類で48.5グラム、合計73.8グラムまで軽量化した。

 機器類は着脱可能で、桜マラソンの制限時間である7時間以上の連続使用を可能とした。今後、ランナーに着用評価してもらい、来年2月に完成させるとした。

 この日、県庁で試作機を披露した。小松原社長は「市販化はまだ先になるが、他競技への応用も含めどんどんと進化させていきたい」と意気込みを語った。完成品は15個作り、ペースランナーに使ってもらう予定。

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