西久大運輸倉庫、都市部でドローンとEV車両を活用した物流の実証実験へ

陸路と空路を活用した都市部での物流実証実験となっており、レベル3飛行による処方箋薬の配送は全国的にも例が少ない取り組みだという。

実証実験の概要

ドローン(空路)とEV車両(陸路)の配送を組み合わせた交通渋滞やCO2排出量抑制に貢献する新しい物流インフラを地域に構築するため実施する。この物流インフラに、日用品や医薬品配送などのサービスを載せることで、忙しい子育て世代や免許返納した高齢者、離島への生活支援も実施することが可能となり、将来のドローンによる個宅への直接配送を視野に入れて進めていくという。

福岡市は河川があり、河川上空を活用することで、市街地上空に新しいインフラを構築し、福岡市の市街地からビジネスを始める。離島は課題がある一方、人口が少なくビジネスとしての自走は困難であるが、市街地で収益を確保することで、離島部にもビジネスを広げることが可能となるとしている。

具体的な配送ルートとしては図のとおり。

今回の取材対応は、周辺地域の環境なども考慮した上で離島(能古島)配送ルートのみとする。

離島(能古島)配送ルート

河川(室見川)上空配送ルート

実証実験の背景と目的

国全体として少子高齢化により担い手不足が進み、DXによる人手不足を補う取り組みが必要とされるが、物流では2030年には荷物の36%が運べなくなる可能性があると推測されているという。このドライバー不足の影響により、配送料の値上げや、離島や郊外では荷物が毎日配送されなくなったり荷物受取の時間指定ができなくなることが予想され、生活への影響が懸念されている。

しかし、ドライバー不足解消のキーテクノロジーであるドローン配送は、山間部で数多く実施されているものの、利用頻度が少なく収益で事業を持続できるフェーズではないとして、需要のある都市部における高頻度配送かつプラットフォーム化されたドローン技術の活用により効率化した都市型ドローン配送の実証を行い、社会実装に向けた検証を行う。

今後の展望

これまで、ドローン配送の実証実験は、過疎地における生活支援を想定して実証が行われてきた。西久大運輸倉庫によると、過疎地では採算面で自走できるフェーズにはない。

今回は様々な事業者のいる都市部の特性を活かしたBtoBによるドローン配送を想定し、また、将来のレベル4(有人地帯における目視外飛行)を想定したルートとするという。

BtoBで採算をとることで、その配送ルートにBtoCのサービスを入れることも可能となるとしている。

今年度の実証は最初のステップとし、今後は、様々なユースケースにて実証を実施し、より早く実用化する方針。また、西久大運輸倉庫の社員が一等無人航空機操縦技能士の資格を所得し、単発の実証で終わるのではなく省人化を目指しながら継続的に事業を進めていくいう。

福岡市の実証により都市型ドローン配送のビジネスモデルプロトタイプを策定し、全国への横展開を目指すとしている。

▶︎西久大運輸倉庫

© 株式会社プロニュース